矢吹7

矢吹薫 7

歪みや思い込みについて少し書いてみたが、そうした疑問に気付けるかどうかが重要。
気付いたところでその歪み部分ばかりを指摘したところで何になる?歪みを指摘し続ける者はそれがどんなに正論であっても、うるさい奴、異端児として葬られてしまうのが関の山だ。

話を戻そう。
刑事モノやミステリー作家は様々なアイデアの思考を凝らし複雑な完全犯罪を演出する。
だが現実はもっと簡単だ。酸素吸入機の電源をオフにして、なに食わぬ顔でオンに戻しておけば事足りる。だが、それではその日の夜勤担当者が一番に疑われるのではないか?証拠は残さなかったつもりでもその担当者の夜勤日だけに起こる偶然は不自然だ。個室には監視カメラも設置されており調べれば誰が何時に部屋に入ったかも分かるよ。個室ってのはある意味一番安全な場所でもあるんだ。

寿命があるものを人為的に無理に縮めようとする行為ではあってはならない。
単に生を止めるという行為であるなら殺人だ。因みに俺の勤務日に利用者が亡くなったという事例は過去10年で2件のみ、これは他の夜勤担当者に比べても断トツに少ない数字なんだよ。

ではその2件が解放の実行なのかって?
なんて脆弱な浅はかな質問だな!
そういう理由が嫌いなところさ
人間の愚かで好きになれない部分だよ。

俺を悪人か何かと思って読んでないか?
俺は誤解を解くためにもここに直接書きたいと思っていたが、
俺は施設内では「生き神様」ってアダ名で呼ばれてたんだぜ。

どうして解放イコール殺人なのだ?
命の終わり方には2種類ある、何らかの人為的な方法で命を断つ方法と、もう1つは寿命を全うさせるという方法。
解放ってのは後者の方だよ。