白ヘビ

普通に炊事場などで使う半球型のザル、ステンレス製のものもあればプラスチック製
のものまであった。
プラスチック製のものは、色が薄い緑色だった。

そのザルを上下にあわせて球状の鳥篭のように。
球状の籠の中に、更に同じようにサイズの小さな球状がという具合。

球状は3重ぐらいだったろうか(ザルは計6個)、球状の一番内側には壺のような形
をした、籐で編んだようなものがあった。

その球状のザルは以前からあったような、またそうでないような。
でも、どこかに心当たりがあるような、そんな感覚で存在していた。

全体の大きさは、両手でかかれられる程度であり、バスケットボールを少し大きくした
ぐらいの大きさだった。

そして一番内側の壺のような形のものの中から、一匹のヘビが出てきた。
そのヘビは30センチぐらいの弱弱しい、アナゴのようなヘビである。
色は全体的に真っ白で、腹の部分だけうっすらと黄色みがかっており、目の色はウサギ
のように真っ赤であった。

どうやってそのヘビを取り出したのか分からないが、私はそのヘビを手で弄んでいる。
触感は、自然界のヘビのザラザラとしたウロコのようなものではなく、もっと滑らかなそ
れでいてキュウリのようなカリリとした張り詰めた感覚と、勃起した陰茎の脈打つような
、生き物の証であるような、それらを全て合わせたような、今までにない触感であった。

私はその触感が珍しく、面白く、また懐かしくもあったので執拗に手で弄んでいるのである。
初めてスライムを手にしたときのような、ぐっと興味深い感覚であったのだ。
ヘビはというと、私が執拗に弄び指でコリコリ感を何度も確かめようとするので、しまいに
は可愛い小さな口を大きく開けて、噛もうと威嚇する。
私は噛まれないように注意しながらヘビの持ち方を変えたりしながら、しまいにはヘビを舐
めてみたりしていた。
そうだ、イタズラ的な興味深い感覚で触っていたのだが、触っている最中も私はヘビを舐め
てみたいと思っていたのだ。
だが舐めてみたものの、味は何もしなかった。

その瞬間、
「どこからそのヘビをもってきたの?!」と、誰かが叫んだ。
その声の主は、前妻だったのか実母だったのかどちらとも判別できないが、
明らかに女性の声であり、その声の主には私は逆らえない事も知っていたので、ヘビを見つか
ってしまった事に狼狽した。

そしてそのヘビを球状の籠にもどした記憶は全く無い。

代わりにヘビの入手ルートを思い出した。
やはり、おぼろな記憶ではあるが、以前にみた夢の中の夢でであった。

人間の記憶とは不思議なもので、何かの拍子に忘れていた事を思い出すものである。
私のその時もそうだった。
忘れていたが、そう遠くはない、たぶん今年中に見た夢の記憶である。

その夢の中では、1人の初老の男性が白ヘビを数十匹も両手に絡ませて持って、それを見せび
らかすように歩いていたのだ。
初老の男性の風体は、どこかホームレスのようであり、職人のような、一見して普通にはつき
あえない感じの威圧感がでていたが、どこか人懐っこく、 私はまるで昔からの知り合いのよう
に違和感なく一緒にいた。

その初老の男性と何かを話したと思うが、今は思い出せない。
何か馬鹿な事を言っていたような気はするが、それが何だったのか・・・。

戻って、球状のザルの中にいたヘビは、その初老の人から貰った一匹だった事を夢の中で思い出
したのである。
その後の展開がどうなったのか、まるで覚えてないが、何故か今日目覚めたときに、この夢は忘
れないうちに書き留めておかないと、という気になったので書いている。

私はときどきリアルな夢をみる。
亀や錦鯉や、今回の白ヘビのように、世間で一般的に縁起が良いとされる題材の夢もみるが、実際
に良いことは特にない。
だが今回に限っては、あの初老の男性は、ひょっとしたら神様だったんじゃなかったのだろうか?
などと、今までに無い不思議な面持なのだ。

無神論者の私が神など・・・・
心が弱っているからかもしれないな。

263225(246) H24 8月21日   AM11時50分