登竜門

この一年の反省。
何も変えられなかったという反省点に尽きる。
仕事や環境を変えてみて、少しは自分を変えてみたいとか、
人生を生まれ変わってみたい、という大それた目標だったが、
まだ何も変わってない。

自分を崖っぷちに追い込めばと、金銭的にもそういう生活をし、
優しさを提供するような仕事、人達に紛れ込めば自然と自分も
そういった人間になれるだろうと努力してみた。
だが、どうしても自分の理想とする環境を作る事は出来なかった。

その原因は解っている。
自分の理想が高すぎるからである。
現実をあまりに直視できない傾向にある。
つまり下っ端は下っ端らしく、心の中まで下っ端でなくちゃなら
ないという現実を受け入れられないからである。

私は善人でなければ悪人でもない。
普通の人間として普通にやってゆくだけでいいと思えてきた。
無理して善行に励むとか、得を積むべく努力をしようとしても、
それを許される環境にいないと今の自分の力量ではリバウンド
してしまう。
それがこの一年でよ〜く解った。
「普通の人間で」これは普通のサラリーマンという意味でなく、
あくまで私の中の基準で普通であればという意味。
自分に素直に生きれたらそれでいいのではないだろうか?
大きな満足とか充実とか、そんな夢みたいな理想を掲げるよりも
、嘘のない自分の人生を歩んだほうが結果的に良いのでは?


登竜門ではないが、鯉は鯉でしかない、竜にはなれないのだ。
逆に竜は竜でしかなく、鯉にはなれないのである。
私も私でしかない、だからもう生まれ変わろうとか、どんな職業
だから好いとか悪いとか、くだらない世間の風評や他人の感傷に
惑わされるような、愚かな人間にならないよう務めたい。

取り敢えずは、自分を必要としている場所で生きていく。
介護、福祉関係も機会があれば働いてみようと思っている。
誰が悪い、何が良くない、てな事ではない、適応できない自分に
一番の原因があることは分かっている。
何より一番は「金ありき」だな、悲しいかなやっぱりそう。
そうでない理想の社会を求めてみたが、貧相な社会には貧相な考え
しかもたない者しかいないというネックがある。
思想、理想、愛情、そういったものはあってもいいが、幻のような
ものでもある。
現に追い求めなくてはならないものは「利益」。
利益を追求する為には、ライバルを他人を蹴落とさねばならない。
自分の正義を追及し立場を確立してゆくためには、相手を立ててば
かりしてはいけない。時には見殺し、傷つけなくてはならない。
そういった競争心からも、私は逃げていた。
相手の気持ちになれば出来なかったのだ。

この夏、ある金持ちから言われた事がある。
「君ね、分からないではないよ。そんな神様仏様みたいなことを
言ってね。でもそれは神様にお仕えするような人達にお任せして、
君はもっとお金を稼ぐ事を考えなさいよ。
君の考えはまるで若隠居だよ。
そうだろ?君に金があれば君がしてあげれるじゃない。
君にはまだ時間があるんだから、目を覚ましてもっとガメツクやれよ」
と。
その時は「金の亡者のたわごと」としか感じなかったが、
今となっては正論だったように思う。

そういう意味では、金は得られなかったが収穫は多い一年だった。
来年は嫌な競争でも何でもして、生活を安定させ、そして自分らしく
生きていける環境づくりに向けた努力をしてみたい。
「私は私でしかない」
これを肝に銘じて今後に挑もうとしよう。

では皆さんも 良いお年を。

230168 H23 12月30日 PM17時40分