自己流のヤブ医者さ

ブラジルの軽快な曲(CARNIVAL RADIO KIX)に合わせて彼女は薄いラン
ジェリーだけの軽装で踊っている。ZELLER SCHWARZE KATZ黒猫という名
のワインをフルボトル空けてしまって彼女はご機嫌である。
韓国籍をもつ母親の血筋だろうか おそろしいほど酒豪である、まだ飲
み足りないらしく38度もある焼酎(綾)をもう半分ほど空にしている、
私だったらとっくに失神している量だろう。昨日からの彼女の食事はコ
ンビニのおにぎり一個だけ、彼女曰くお酒が私の食事です。
昨日まではあれほど 死にたい 生きている価値が無い 意義を見出せ
ない もう会いに来ませんなど、散々だったのに私が無理やりに脱がせ
半ばレイプのようにユキコを犯し、フェラチオで2時間ほど奉仕させ、
疲れたという彼女に「メシでも食おうか、それとも酒か?」と聞いたら
別人のように生きかえり、持って来たCDをかけ踊りだした彼女なのだ。
彼女は、機関銃のように喋りそれがまた博学で、オペラ歌手を目指して
いた頃の話で私を閉口させるほどである。話の合間にタバコを3本も4
本も立て続けに吸い私に抱きつく。この明らかな躁状態は、彼女がこの
世に生きている証なのだろうか。ちょうどスカウトマンから連絡があり
「いい子ですよ」の誘いも反射的に「今日は休日でしょ」と、冷たく
あしらい ユキコから目が離せない。彼女が私のために料理を作ると言
いだしている、この池袋の事務所で手料理が食べれるとは感激だが、買
って来ようとしている食材のこれまた本格的な事!これだけの食材は駅
前のデパートにでも行かねば揃わない、酔っている彼女を買い物に出せ
るはずも無く「今度たのむよ」と、二人でコンビ二へ行く、顔見知りの
店員は私を見て見ぬ振りをする、当然だろう いつも違う女を同伴して
ジャージ姿で買出しに来る私を、何者なんだ?コイツは?と思っている
に違いない。「ダーリンは先生よ、私のSEXや私を分ってくれる先生」
ユキコは恥じらいも無く私にベタベタしてくるが、一般人が見ている前
で私は彼女の肩を抱き寄せてやるのが精一杯だ。私は「どうせなら俺を
心の医者ドクターと呼べ、もちろん自己流のヤブだけどな」と言うと、
彼女が「チューして」と顔を近寄せるので「断っておくけど俺に惚れる
なよ、これは愛じゃないぞ、擬似恋愛だ」と、もう一度念を押したが彼
女に聞こえているのかどうか? 酔いが覚めたら彼女は現実に引き戻さ
れるのだ、私が彼女に夢をもたせ楽しい時を過ごさせてやれるのは い
ったい何時までだろうか やがてユキコとも音信不通の時が来るだろう
今まで何人の女がそうだったか・・私の魂は寂しい未来を察知してしま
い、子供のようにはしゃぐユキコを私の業界で働かすかどうか迷うので
ある。PM10時25分