愛国

塾長への談判とは私が疑問に思っていた事柄を質問しただけ
だった、聞かなくてもいい事柄だったかもしれないが、当時
の私は自分の意思を制御するには未熟であった。
質問の内容
①右翼とは愛国主義の名を借りた恐喝集団ではないか
②本当に国を愛し、国を思っての行動なのか
天皇はそのような行動をして本当に喜ぶと思っているのか
まだ他に質問したい事はあったが、塾長が長い間信じている
ものに対し否定的な事柄が多かったので、この3つにし、つ
いでに自分は捨石になる気はないと宣言しておいた。
塾長は私が少なくとも左翼主義ではなく、どちらかといえば
右翼主義であり任侠道も好むが平和主義者である事を知って
いた、だからだろうか質問に対しては静かに答えてくれた。
「君の言わんとしている事が分らないでもない、だが俺が国
 を憂い愛国精神のもとやっている事に何の偽りもない、俺
 はこのやり方しか知らないから、この道を信じているんだ
 街宣活動が嫌なら君はやらなければいいんだ、啓蒙活動と
 いって、思想を言葉で広めていくやり方のほうが君には向
 いている、ただし論客となるなら、今のような質問は控え
 ないと非(非国民)と思われて君が損するよ 我々は世間
 から時代錯誤と思われているかもしれんが必要とされてい
 るのも事実じゃないかね?それが世の中じゃよ、君はもっと
 勉強しなきゃいかんな」と、塾長は答えとも脅しともとれる
言葉で私の質問を一蹴した。私は納得出来なかったが、相手が
本職である以上、これ以上の論争は無意味であると悟った。
その年の暮れに塾長から連絡があり「今時の若者何やってんだ?
参拝行こうか、君がいないと寂しいよ」と誘ってきてくれた。
靖国参賀・・皇居の一般参賀と同じように年末靖国神社でも
天皇一族の姿を拝し国の繁栄を祝して日章旗を振る機会がある。
TVでおなじみのあの光景だ、TVで映っている一般人の向こ
うに映っていない多数の右翼団体の姿があり「天皇陛下万歳!」
と唱和している。