菊守青年同盟

「菊守青年同盟」略して菊青同ともいう。
東京の自由が丘に本部を構える右翼団体の名称である、構成員
は700名ほど、私の師の一人がこの団体にある塾の塾長であ
り、私も塾生であったので街宣活動にも積極的に参加していた。
右翼の一員というと想像されるのは、いつも迷彩服を着て街宣車
に乗り大音響で難しい文章を読み上げているならず者、そんな
イメージではないだろうか?そして企業のミスに付け入り大金
を恐喝し、それを収入源として生きているみたいな・・・。
確かにそれは否めない、ある保険会社に対する行動の時も街宣車
5台、ジープ2台に分乗した我々(総勢150人くらい)は、隊
列を組み大音響で保険会社の落ち度を宣伝しながら向った。
行動中、赤信号など関係ない「緊急車両が通過する!」の一声で
一般車両は道を開けた、しかも隊列の前後はパトカーが先導して
るのだ、「菊青同は純粋国粋右翼だから警察は協力的なんだ、本
当の悪人である保険会社をやっつけて欲しいと思っているんだ、
だが表向きは警察が動けないから我々が行動するんだ、見てみろ
警察官は一人として我々の行動を邪魔するどころか保険会社まで
の道を先導して道案内してるだろう」塾長の言葉に私は世の中の
表と裏をまざまざと見る思いであった。そして保険会社の前まで
来ると「全員突撃!!」の命令とともに何百といる完全武装の機
動隊のなかへ殴りこんでゆくのが私達隊員の役目である。私服の
警察官も機動隊も、その時ばかりは乱闘だがお互い好きでやって
る乱闘ではないから重傷者がでるようなものではない、私も機動
隊の何人か腹を蹴ったがジュラルミンの縦に当たってしまい、こ
っちの足のほうが痛かった。「撤収!」の命令で我々は各車両に
戻り、捕らえられた者や怪我人がいないか点呼をうける。その後
我々は散会し私服に着替えて帰るのだ、保険会社との折り合いが
どうなったとか、いくら金になったとかは末端の隊員には一切知
らされない、一種のデモストレーションなのだ、そしてお決まり
公務執行妨害というヤツで逮捕が何人もでるのが何日も後から
だ。隊員の多くは普段は社会生活に適合して暮らしている者だ、
行動の度に逮捕されてちゃたまったものではない、そこで私は塾
長に右翼活動の意義を談判した。