AM7時 そろそろ寝よう

AM6時 小雨の降る肌寒い朝雀荘から帰ってきた。
F氏に付き添って貰ってのフリー雀荘のデビューだった、
私は麻雀の点数を数えられないから雀荘へ一人で行った事
がなかったのだ、結果は散々だったが楽しい一時であった。
帰り際に「これ今日の儲け分ですから」とF氏が私にお金を
くれようとするので、一度は私も「じゃあ山分けしようか」
と言ったが、「監督のデビューの日なんですから」と、F氏
は麻雀で儲けた金を全部私にくれたのだった、私も祝儀だと
思い快く受け取ったが、内心(また借りができちまったな)。
それにしてもF氏は流石である、儲けを人に全部渡すなんて
なかなか出来ることではない、こういうところが親分肌であ
り、あたたかい男心は彼の魅力である。
雀荘の中はタバコの煙と熱気に包まれていたが、雀荘を出ると
小雨が降っていた、秋の長雨というやつだ。私の頭の中には
さっき雀荘の有線放送で流れていた若い歌手の歌声がこびり付
いて離れない、(あの歌は、あの子が好きだった曲だ)と、
ささみの事を思い出していたからだ、カラオケに行くと喜んで
夢中で歌っていた、ささみはちょっと頭が緩いから英語の歌詞
の部分になると読めなくて誤魔化していた、そこがまたカワイ
くてまるで幼い子供を見るように私はそれをみていた。ささみ
は素直な澄んだ声で流行の歌を歌っていた。「お前は歌ってる
時は一人前なんだよな〜」と、からかっていたのが昨日の事の
ようだ。
ささみ、お前は今何をしてるんだ?連絡もくれないで様子が
おかしいけど?たとえお前が他の風俗をしてたって私は怒ったり
しないよ、お前の好きなようにすればいいよ、元気でさえいてく
れたら私はそれでいいんだ、お前の歌声をもう一度聞きたい。
「お前は俺の癒しだった、本当にありがとう、何でも相談して
 こい 沖ちゃんは、ささみの味方だよ」とメールをしたのが
何日前だったろうか、たぶん順調なのだろう ささみからの返信
は未だにない。
明日もAM5時30分にF氏と釣りの待ち合わせがある、雨が
やむといいな、何かに夢中になっていたい。