幸せを感じる為にはー4

幸福を感じる為にはー4

「ホントなんだよヒロちゃん・・」

そう言ってそのカリスマは言葉を詰まらせた。
カリスマは私を芸名でなく、私の本名ヒロシを子供のようにヒロちゃんと呼ぶ。

私もとっさにそのカリスマの語調からそれが冗談ではないと悟った。
であるから私もその話はそれ以上しないで、他愛もない女の笑い話に切り替えたが私は心の中で思っていた。

そうなんだ、カリスマは人脈もあり金もあり、私からみれば大した成功者に見える。
でも一般に成功と評される金で苦労したって思っているって事は・・
即ち闘っていたんだ、金を得ることが幸せだ成功者だと妄信的に洗脳されその一点に絞りやってきたからこそ群を抜いた金を得ることができた。
その過程ではカリスマに群がる修羅たちから自分が得た財産を守らねばならなかった。
だから苦労という言葉だったんだ、それは生涯続くかもしれない、カリスマにとり心休める安住な時は少ないのかも?そう考えると可愛いそうだな、できるならそんな心労は少しでも薄めてあげたいなって。思った。

では、その金を得て、過去を振り返り幸せだったのか?
実際的にどんな立場であろうが資産家であろうが、今現在幸せを感じている人は少ない。

「一番幸せを感じたのは?」
この質問を生前にしておけば良かったと今でも私は心残りだ。