挫折1回目

この一週間体を動かしてないのでよくない。また元のような生活リズムになってしまい
ロクな事を考えない毎日を過ごしている。植栽のバイトは土方仕事のようなものだから、
仕事がある時とない時があり安定してない。他のバイトか何かをやって暇な時間を少な
くするようにしないと元のモクアミになる。

夏美を知り合いの店に紹介した。
今回は事情が違うが、他店の女の子を電話だけで引き抜き知り合いの店で働かせるとい
う事をやったわけだ。こんな芸当はそういう業務で食っている連中なら日常茶飯事だろう
が、こういう業務をしたことのない人にやってみようとしても逆立ちしても出来ないだろ
う。いとも簡単にやれてしまうって事は、やっぱり私はまだまだこっち寄りの人間なんだ
と痛感する。そして早くも一回目の脱必要悪を挫折したことになる。何故かと言えば、紹
介した店からはスカウトバックを貰う権利が発生するからだ。その金を貰わないのなら私
も成長したと自分を褒めてやれるが、たぶん手にしてしまうだろう。
さらに知り合いの風俗店(デリヘル)などは入り口で、その先に知り合いの援交、愛人クラ
ブ、AV、SMクラブと稼ぐ手段は続いており稼ぎたい女を軌道にのせればそれだけで私は
生活していけてしまう。そんな自分が嫌で日の当たる仕事をしようとしていた筈だったのに
だ、しかも私は自分が好いている夏美にそういう事をやった。果たして私という人間はどん
だけロクでもないヤツなのかと自己嫌悪するのだ。
今回は事情が違うので、夏美も「沖リンありがとー」なんて言ってる。
違う角度から見れば人脈を活かした人助けと、言えないこともないが本質的にはカスリ事
であり自らが汗を流すという事とは根本的に違う。
事情が違うというのも甘えであり言い訳に過ぎないと承知している。
「彼女にちょとしたアドバイスをしただけ」というふうに自分を擁護することもできるが、
ではその事実を彼女の両親が知ればどう思うか?それが普通の感覚であると思う。
また彼女の窮状を察知していたのだから彼女の両親に「実は一緒に住んでいるトルコ人
家賃も払ってくれない人で生活に困り渋谷で風俗をしてます、僕との出会いはAVです内容
はAFです、今回縁があって知り合いの風俗店を紹介します。」なんて馬鹿正直に告げるの
も大人ではありえない。
どちらにせよ私は彼女を風俗嬢として扱ってしまったのだ。
これが先日危惧していた「二足のわらじ」であり必要悪の世界で生きるってことは、そういう
罪悪感みたいなものを感じないわけにはいかない。
ついでにもう一言、イスラムの彼氏は布教の為に来日したらしい、パイパンにしたり豚を食っ
ちゃいけないとか、朝の早くからお祈りしたりまぁご苦労なことだ、ことろで彼氏君、君が夏
美と住んでるマンションの生活はどうやって彼女が稼いでいるか知ってるのかね?
それが世の中ってやつだよ・・・。

とまあいつもの様にクヨクヨとブログを書いたいたら夏美から連絡があった。
一人だけ客について早々に帰るらしい、雑踏の中を歩いているようだ新宿駅へ向かっているの
だろう。
「沖本さんありがとうね、今日はもう帰るよ遅くなると彼氏が怒るから」
「そうなんだ、じゃあ急いだほうがいいね」
「ごめんね、せっかく違う仕事をはじめたのに、引っ張り込むような相談しちゃって」
「いやいいさ、出来ることは協力するよ」
そんな会話を交わした、夏美の気遣う言葉にちょっとホッとした。解ってくれる子は解ってる。
「そんなイスラムヤロウ追い出しちゃえよ、代わりに俺が転がり込んでやるからさ」
私がそう言うと「それは絶対むり!特に沖本さんとはね」と冷たい言葉。
女の割り切りとは凄いもんだ、つくづく感心させられる。
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157029(154) H22 2月13日 PM11時40分