フリージア

フリージアの香りが春の陽気に漂っている。

春咲き球根類の中では香りも強く私は好きな花。
ただ、ちょっと行儀が悪い、
路地植えのそれは、特に乱れた格好、
香りが良く可憐な花を咲かせる割には・・・
まるで
歓楽街の、酔った女たちみたいな花だ。

気取ってなくていい、
行儀の悪さが愛らしい。

自然や植物は、素直に姿を晒しているからいい。
人は整然と並んでいるものを美しいといい、
それを総じて正義と呼ぶ。
はみ出したり、曲がったものを悪と呼ぶ。

それが大きな間違いであると気付く者も少ない。
法や常識に、
綺麗に並べ敷き詰める行為は、ただ単に、
支配する側が、支配し易いようにしてるだけ。
分かるか?

青竹を例にとってみるか。
「竹を割ったような性格」
「竹のように真っ直ぐに」などなど、聞こえは良い。
見た目がいいから、そんな例えになったんだろう。
実際はどうだ?

竹だって、地上部分はそう見えるが、
目に見えない土の中じゃ、
根っこたちが、うじゃうじゃ入りこんで、
自分が生き残るための生存競争をしてるじゃないか。
それが実際。

目に見えない部分に「本当」ってものはあるものさ。
何が正義で、何が悪なんて、
そのときの都合で幾らでも変わってしまうだろ?
「理性」なんて便利な言葉あるしな。

生命に課せられた正義って何だ?
私も人間に生まれちまったから、よく分からないけど。
きっと
与えられた生命を全うし、
若き世代を育てるって事じゃないんかい?
行儀が悪くたって、出来が悪くたって、生きてさえいれば、
それだけで価値があるんじゃないかい?

フリージアを見ていると
なんかそんな気になってくるよ。

104126(95) 12日 AM2時ジャスト