インディアンサマー

昨日の木枯らしが嘘のように暖かい一日だった、まだ早いかもしれないが
今日のような日を小春日和というのかもしれない。
北の国では雪が降り始めたそうだが、私の住む関東ではようやく朝夕の冷え
込みで冬の到来を感じる。
サザンカが咲き始め、広葉樹たちが紅葉して葉を落とし始めている。
日本の紅葉も美しいが、カナダのカエデの森の紅葉も素晴らしいそうだ、カナダ
の国旗が示すようにカエデから摂れるメイプルシロップが特産品であることは
知られているが、製法は意外と知られてない。マツヤ二のように樹脂が摂れてそ
れを溶かすのかな?と私も思っていたがその逆で、樹を傷つけると水っぽい汁が
流れ出すそうだ、それを集め煮詰めるとメイプルシロップになるそうだ。
日本は世界でも屈指のモミジの種類の多い国である、モミジはカエデの中に含ま
れる種類だから、モミジからもシロップは作れるのだろうか?
両親がカナダのイエローナイフへオーロラを見に行く話をしている、私はそれを
聞きながらメイプルシロップの想像をしていたのだ。
母が「釣りをするなら買ってあげる」と、私に高価な電動リールを買ってくれる
ように言ってくれるので「自分で買うからいいよ、長靴があれば嬉しいな」と私。
本当は嬉しいが勿体無くて使えそうもないからだ。でも親は子に買いたいらしい
上州屋へ行く事になった。ところがたまたま在庫処分のセール中で長靴が
1000円しかしなかった、一緒に来た母は「寒くないように」と、長靴だけで
なく下着やら、防寒着まで買ってくれるので私は嬉しいが複雑な気持ちだ。
本来なら私が両親に、カナダ旅行ぐらいはプレゼントしなくてはならないからだ。
苦労して育った母は、私を厳しく育てた。小遣いも少なく流行の服や私が望む
物は何一つ買い与えなかった、不満に思った若い私は窃盗により不満を解消して
いた、今にして思えば「親の気持ちも知らぬ子」だった自分を反省している。
大人になり家庭を持つと親の有難さが身に沁みるものだ、私の身が立つまでそれ
からも母には健全であって欲しいと願っている。
母の買ってくれた防寒着を着ながら、その温もりに包まれながら思い出す 幼き日
布団で添い寝してくれた あの頃のそれと同じだ。