いつもの桜

いつもの桜

やっと咲き出した。
毎年そうだが、コイツは出だしが遅い。
場所が悪いし、老木なのか、道に面した表側の枝を痛々しくバッサリ斬られていて樹勢が弱いせいなのか。

そう、俺がいつも見ているのはお前の裏側の顔。
世の中がそうであるように、当然樹にだって表と裏があるからな。
咲くのが遅くたっていいよ、他の桜が散りだす頃お前は満開だもんな。
今年も頑張って咲き誇れ、誰が見なくとも、俺はいつもお前を見ているぜ。