灰色の建物

灰色の建物

その建物は15階建くらいのマンションのような建物。
入口は地下のような場所にあり、私は扉を開けて中に入ってゆく。中は暗く湿っているが蛍光灯のスイッチの場所を知っていたので電気を点けて中に進んでゆく。
以前にここに来たことを思い出す、確かその時はここの上の階はプールになっていた。だから湿っぽいのだろうと思いながら地下階を抜けてエレベーターに乗り上階へ向かった。
着いたのは10階くらいだと思う、私の乗ったエレベーターはその階が行き止まりだった、私は屋上に行きたかったので非常階段で上に上がろうとしたがそこも行き止まりだった。

おかしい?何故だ?以前は確かにここから上がれていた。

そう思っているとある友人が現れた。その友人は喋っている訳ではないが、何故かその友人の思っていることが私には分かった。
友人も屋上に行きたかったのだ。すると何故か次の場面では私と友人は屋上におり、屋上でも目が眩みそうな危険な場所へトライしてみたいと友人が言っている。
落ちれば確実に死んでしまうだろうと思われる場所だ。

どうして、わざわざそんな危険な思いをしたいのか?と、思われる方もいるだろう。
ロッククライマーや冒険家を想像してほしい。彼等は生と死の狭間に行くことにより、生還した時の喜びをより強く受けれるのだ、単なるスリル克服欲だけではなくその本質は強烈な生への願望であるのだ。

私はその場所で昼寝をしたことがあるのを思い出し、ちょっと自慢げに友人に言った。
「大したことないよ、目を閉じればその辺の地上と変わらんよ、ただ寝心地は良くないけどな。」と。

目覚めて私は思う、夢の中ではもう一人の自分がいる、きっとその時は本気でそう思っているのだろう。そういう自分も自分の一部なのだと。
リアルに現実世界の今の私は、穏やかな春の日差しの中でキレイな草花を眺めているほうがよっぽど良いと思ってますが。