柔らかい砂

柔らかい砂

そこは団地のような場所で、古いアパートが立ち並んでいる一角。
ここの2階の人が確か買ってくれたなと記憶をたぐり訪ねる。
私は何か物を売り歩いている行商人か、営業マンのような立場。
2階の玄関はドアが開いていて、そこの住人は私が来るのを知っていたようだ。私も何故か懐かしく過去にそこに住んでいたような、私もそこの住人だったのでは?という気がしていた。
でも誰と住んでいたのか?そこは思いだせない、優しいオバサンだったような、母だったのか、知らない人だったのか、顔を思い出せない。

その玄関を出て階段を降りた辺りにあるのが柔らかい砂。
土団子を作り最後の仕上げに使うような砂だ。土団子の表面にまぶしてこすると、土団子が青黒くツヤツヤとなる魔法の砂。

団地の敷地は丘の中腹にあり、下ってゆけば林がある。
子供たちはいつもその林に遊びに行っていた。
その林には何かがあるのだが、どうしても思い出せない。思い出せないが何度も私はそこに行っている。
アスレチックのようなものだった気もするし、思い出の樹木だったような気もする・・・。

もしかしたら、私は将来その場所へ行くのかもしれない。
過去ではなく予知夢なのかもしれないなと思ってしまう。