ビン沼 1

黒い鉄製の門を出ると目の前に「たつみチェーン、東栄ストアー」があった。
目の前は牛蒡畑で、その向こうに浅間ストアーがあった。
浅間ストアーの名前の由来は近くにある「浅間神社」からだろう。
その神社とは名ばかりの、小さな祠が祭ってあるだけのもので、近所の住人
以外では見落としてしまうくらいの大きさである。
浅間ストアーを右にみながら道を進むと、ちょっとした下り坂がある。
この坂は短いながらも急な坂で、雪や氷の張った日には滑って危なかった。
坂を下り終わると焼き鳥屋の屋台がありそこを左に曲がる。

もう一つのルートは、
たつみチェーンの道を浅間ストアーの方へ曲がらず真っ直ぐに進む。
左右は牛蒡畑が続く。
やがて左手に(ほかほかパン)と呼んでいたパン屋があった。
パンがほかほかだったのは、当時珍しく焼きたてのパンを販売していた店だ
ったからだろう。
暫くいくと右手に酒屋があり、そこも通過して上沢の方角へ道なりに進む。

やがて団地の間を進む道となり、小さな商店街や右手に丸く大きな銀色をした
団地の給水塔などが見える。
さらに先へ進むと踏み切りのある場所へ出る。
東上線の鶴瀬駅から富士見方向へ向かった2つ目の踏み切りである。)
踏み切りを超えると、すぐ左側が廃屋のような建造物があり、もう少し進むと
右手の商店街の一店に鮮魚屋さんがあった。
名前は覚えていないがここの刺身は特別に旨く、母親の話ではその店は
築地市場」という場所との取引があったらしい。当時そのような新鮮で子供
にも美味しさが伝わる刺身を売っているのはその店だけだったように記憶して
いる。

159306 (72) H22 3月12日 AM0時30分