曾祖父

曾祖父

私が生まれる前に曾祖父は亡くなっていたから会ったことはない。
写真でしか見たことがない人。

明治の生まれ、茨城県の長砂という片田舎で百姓をして暮らしていたらしい。
当時の百姓だ、貧しい質素な生活だったのだろう。

こんな話を祖母から聞いたことがある。
曾祖父が誰かから魚(海の魚だと思う)を貰ったそうだ、貴重品である。
芋畑を耕す百姓でも鶏肉や猪など動物性たんぱく質は食べれただろうが、今のような交通機関などない時代だ、遠方の海で捕れた魚などめったに口にできなかっただろう。
曾祖父はきっとその魚を後生大事にしたのだろう、たぶん。
挙げ句には魚の賞味期限が過ぎ、大事な魚に虫が湧いてしまったそうな(笑)

私が思うに、曾祖父は干物のようなものは食べたことがあったのだろう、だから魚は保存がきくと思っていたのではないかと。

この話には続きがある。
その虫が湧いてしまった魚を曾祖父は捨てることなく食べたというのだ!
それを祖母から聞いたときはさすがに笑えなかったが、今にして思えば分かるような気もする。
きっとそう、その貰った魚は大事な人から貰った魚だったとか、何か思い入れがあったのだろう。

そうした義理堅さは分かるな、先祖の血が流れる子孫である私には分かるな。

現在では何でも食べれる時代。
法事やちょっとした親族の集まりでもご馳走を食べる時代だ。
でもね、それは両親やその両親、ご先祖様方が現代まで命を繋いでくれたからだよ。

私は無神論者だけど、「神」というものがあるとするなら、それはあなた方だと思ってるよ。
ー感謝ーf:id:takeshiokimoto1:20191229124542j:plain