織姫よ彦星よ

昨日は実家から帰らず、今日まで実家でのんびり過ごす。
月曜は殆ど用事もないしと、思っての事だったが、やはり
近所の目もあるし長居はできない。

殆ど用事がないというのも、こちらが一方的に用事をしな
い日と決めているからだ。
スカウトマンからも数回連絡があったが、面倒くさいので
用事があることにして断った。
明日は別のスカウトマンが、昼過ぎに女を連れてくる予定。
女にまみれるというか、そういった事はやろうとすれば、幾
らでもできる。しかし会って世話をやこうとすれば途中で
放り出すような無責任な事はできない、それに精子が幾らあ
っても足りやしない。精力の減退を感じる近年では、精子
枯渇してしまうのでは?とか、射精の度に、その分寿命が短く
なっているのでは?などと、少々被害妄想気味。
などなど、消極的になっているかと思うが違う。実際に生身
の女を目の前にすれば、また3日もしてタンクがフル充電され
れば、また本能の如くのような行動をしてしまうのだろう。

所詮私はそんな類の人間だ。
どんな高尚な言葉で言い訳を繰り返そうと、崇高に思える思考
を掲げそこに埋没したいと望んでも。所詮女の裸にさえ勝てない
程、自制心のない未熟な人間が私である。
そんな未熟な私は、やはり今の職業がお似合いなのだろうか?
この仕事を卑下するつもりはないが、そろそろ飽きた。
得意だった筈の「鬼畜」という分野に飽きているのだ、飽きは
不注意を招き、不注意は事故を誘発する。当然作品もつまらない
モノになる、それを事前に警告してはいるが「お前のカラーは
鬼畜だ」とか、「当然できるだろう」みたいな他人事としてでし
か考えられないような、気のない返答ばかり。私はその事に対し
嫌悪感や殺意を抱くときもある。
私が何気なく制作しているように見える作品一つ一つに、どれだ
けの神経を費やしていると思っているのだろう?

仕事に対する意欲を削がれるような、心無い言葉とは嫌なものだ。
と、言いつつも、タイプの女を目の前にすると仕事の熱意に駆ら
れてしまう。
この時期池袋の地下通路の柱に、竹の木と短冊が用意され、通行人
は自由に短冊に願い事を書き込めるようになっている。
「家内安全」「誰々と〜行きたい」「健康で〜しますように」など
多数の願いが込められている。
私も短冊に願いを書き込もうと、ペンを取ったが書くのをやめた。
「鬼畜作品以外を作りたい」なんて・・・あまりにも無粋だから。

57335      9日   PM10時10分