縛り
「縛ってやろうか?」
と、唐突に尋ねたられたらどう思うだろう。
ピクンと反応する者もいるだろうが、一般的には怪訝な表情が妥当だろう。
それが常識と思っているからだ。
でもその常識が間違いであると気付く者は少ない。
大多数の者は縛られたいのである。
いや、何もガムテや紐で縛るって話じゃないぜ、涎なんか垂らしてないで真面目に読んでくれ。
見えない呪縛で心を縛るってやつよ。
仲間うちのルール、絆、恋愛の束縛、宗教、法律、
みーんなそうじゃないか。
建前としてカッコ良い事を言ってるがその本質は繋がっていたいからさ。
つまり、縛られたいのである。
おかしなものだよな、
自由という言葉にあれだけの憧れを感じるというのに、実は縛られている自分に安心するなんて。
人間てのは全く相反することをやって満足する。
矛盾の中で平気な顔をしてられる。
「人の道は迷いの道だ、迷惑をかけ迷惑を掛けられて悩みながら成長するものだ。」
と、師匠に教わったことがあるが、全くその通りだよな。