メイの夢

とても寒い部屋の中にいた、外はドシャ降りの冷たい雨だった。

外にずぶ濡れの黒猫が雨に打たれ、メイメイ鳴いていた。
ぼくには、その猫が今はもう無き「メイ」であることが解っていた。

夢の中で夢であるとこに気付いていたから。

「メイ!」と呼ぶと、メイはいつものように僕の方へ近寄ってきた。
僕はメイを抱きかかえると、きつく抱きしめた。
メイの体はとても冷たかった。

温めてやりたかった。
でも、メイを拭いてやるタオルなどは見当たらなかった。

僕は服を脱ぎ、肌着にしているTシャツでメイの体を拭いていた。
拭いても拭いても、メイは濡れたままだった。
冷たいままだった。
あの温かく柔らかなメイにはならなかった。

「ドライヤーでもあればいいのに・・・」
そんな事を思った。

メイはずっと「メイメイメイ」と、
餌をねだる時の甘えた声で鳴いていた。

僕は夢から覚めたくなかった、夢から覚めるとメイともお別れだから。

そのまま冷たいずぶ濡れのメイを抱きしめながら、
うずくまって僕も泣いていたように思う。


いつもの変なリアル感のある鮮明な夢だった。
ちょうど12月22日、優しかった祖父の命日だった。
故人を偲ぶには相応しい偶然の夢でもあった。

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