ピーちゃん
さて、ふて腐れたような話ばかりしてても仕方ない。
どうせ暇なんだから、たまには昔の面白話でも思い出してみっかな。
とは思ったが、何を書こう?
やっぱり面白話といえば、女の話なんだがサイトによっては内容が相応しくないと
判断された時点でそっくり抹消されたりもするからな。
遠慮しながら書くようなシラケたものでは書いても意味が無いし・・・。
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という事で、さしさわりの無いところでピーちゃんの話でも書いてみっかな。
ピーちゃんていうのは中国人の女性。
本名は忘れてしまったが、「序」という漢字の名前だったと思う。
仲間の中国人には「ショウ・ソウ」と呼ばれていた。
私がまだ30歳手前で、福ちゃん弁当という引き売り専門の弁当屋に勤めていたころの話だ。
その弁当屋は廃業した銭湯を弁当工場に改装していおり、昼間の3時間だけで毎日平均
1500食を売りさばく、引き売りという業態の弁当屋であった。
その食数を製造するために、深夜労働ができる中国人留学生を多く雇っていた。
その中の1人がピーちゃんだったわけだ。
「似て非なるもの」という言葉があるが、日本人と大陸の中国人とは全くの別人種、
骨格から何まで彼らは遥かに日本人を凌駕している。
ピーちゃんは、日本人にはあまりいないタイプの美人だった。
容姿を形容するなら、小股の切れ上がったいい女。顔はベビーフェイスでありながら、
眼をもう少しパッチリと切れ長にした感じ。
メイクはいつも口紅だけである(それだけで美人、本当の美人)
もう少し分かりやすく表現するなら、アニメなどでよく目にする皇帝に仕える女官か女帝て感じ。
(歴史書のそれではない)
声質もそれに似合ったオーラがあり、仲間の留学生の中でも常に人気がありイ二シチアブを
握る存在であった。
当然私は、ピーちゃんを気に入ってしまう。
何故なら私は面食いであり美人には目がないからだ。
相手が私をどう思っているかなど考えもしない、ただ単に好意を示すのが私の悪い癖。
私が「ピーちゃん」と呼ぶと、周りの留学生は意味深に笑い、ピーちゃんはちょっと迷惑そうに
愛想笑いしたり、少し怒ったような顔をすることもあったが、それも気にならない程度だった。
中国語を全く理解しない私には、相手に何を言われているかも分からなかったからだ。
ピーちゃんとは肉体関係はなかったが、彼女にえこひいきをしていた。
プレゼントを贈ってみたり、彼女をだしにして数人の留学生と食事に行ったり、熱海あたり
まで遠出のドライブにいったり、蛙が食いたいと言うので蛙の肉を買ってきたりと。
一度など犬の肉が食いたいと言い出して私を困らせた。
「かわいいワンちゃんは味がだめ、老人の犬は美味しいです、どんな肉よりも」
そう言って、今日にでもどこかの飼い犬を連れて来るように言ってた彼女の目は今でも忘
れられない。
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私も見返りなど初めからアテにしてはない、気に入った子に対し相手が気に入ってくれるであろう
事をする、それを相手も素直に受け止めてくれれば、それこそ自然の善意なのである。
ピーちゃんも流石に大陸の女性、初めこそ周りの仲間のひいきの視線を気にしてか、恥ずかしそうな
照れた素振りもあったが、やがて仲良く喋るようになった(留学生は日本語を理解する)
だが、私には相手が中国語で何を言っているかは解らないのだった。
元々、ピーちゃんというあだ名は私が付けたあだ名である。
作業中に白衣と帽子を被ると、まるでキューピーちゃんのように可愛らしかったことから、
「序さん」→「キューピー」になり、
忙しい厨房での作業中に「キューピー」→「ピーちゃん」となっていった。
そして一度省略されたあだ名は元には戻らない、「ピーちゃん」が、私だけが彼女をそう呼ぶ
あだ名となった。だが何故か他の留学生たちは彼女を「ピーちゃん」とは呼ばなかった。
私としては、何ら手落ちがあったとは考えてもみなかった。
はるばる異国の地から働きに来た留学生たちに、その中で特に目立つ存在であるピーちゃんを
可愛がった、多少ひいきではあったかもしれないが、それなりに日本人のいい上司を演じたつもり
でいたのだった。
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やがてその弁当工場は別のオーナーが経営することになるのだが、新しいオーナーはオーバーステイ
である留学生たちを全て解雇することになる。
ピーちゃんともお別れである。
やっとその頃である、1人の留学生が私に教えてくれた。
何故留学生仲間がピーちゃんのあだ名について意味深な笑いをしていたかをである。
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中国語で「ル」とは男性器、「ピ」とは女性器を表す言葉だそうだ!!
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何という事だろう、私は知らずとはいえ彼女を「ピーちゃん」と呼び続けてきてしまった。
現代でいうところの立派なセクシャルハラスメントではないか。
今にして思えば、私はあの頃からセクハラ上司としての素質があったのやもしれない(笑)
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まぁこれは冗談としても、
それにしても、中国人の日本人に対する信用しない気質みたいなものはどうだろう。
「もっと早く教えてくれたって」と思ったもんだ。
このおかしな失敗談の中にも、彼らの強かな野望的な精神と日本を蔑視している本音が
うかがい知れるというもんだ。
そして近年、経済大国として頭角を現した中国は、一層その態度を顕著にしているではないか。
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260010 H24 4月28日 AM4時50分