懲りない性格なんだよ
女なんてさ〜、女なんてさ〜♪
やはりそうだった、信用なんてしてはいけない。
ヒモ大作戦を思いついた時点からの懸念だった。
こんな商売をする人種の上前を跳ねるような商い、そんなものが
成立するのか?
そうは解ってはいたが欲もあり、ましてや普通は手にすることもない
アイテム(買いきりのスカウトマン、通常は預け)を2人も有して
いたし、なんとなく上手くいくような気もした。
というのも今回の作戦は私一人の仕切りではないからだった。
過去の例ではスカウトマンから女を買い、その女に講習と称してその場
で風俗のテクを仕込むという名目の上で、その女にサービスをさせ
て女が自分がした事のない内容も半ば強要し、さらにその現場をビデオ
に撮影までし、そしてその講習をすませた後もまだやる気のある
者だけを風俗の店に預けて働かせていた、その作業を全て私1人でやっていた。
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私はそれが良くない結果につながっていたのではと思い、今回のヒモ大作戦
ではスカウトから買った女には、指一本触れずサービス内容も本人がやれる
と言う内容にとどめ、しかもできるだけ店も無理なく稼げるような優良店を
紹介し誠実な対応をし、仕事以外の息抜きみたいな場面やメンタル的なケア
も一環として取り入れようと試みてみた。
その一連の作業を私一人の仕切りではなく、今回この作戦に参加した者が
それぞれの得意分野に応じて行うという共同作業、1人の女に対し男3人がかり
であり、言うなれば3人はお互いに仕事を監視しあいお互いにフォローもする、
そうすれば私的な感情も邪心もないしできない、今回買われてきた女は安心で
きる環境のなかで仕事に専念でき金を稼いでいける、つまり長続きする女を
累積でキープできる、だからこの計画は限りなく成功するであろう・・・
という考えだったのだ。
・
実際に買い付けた女は4名。
出だしは好調だった、このままいけば今年中の目標である20名も簡単に
クリアーするのではとさえ思えた。
ことろがだ、沖本の人生というか世の中というものは甘くはない。
まず最初の女がコケた。
この子だけは大丈夫と思っていた子だった、理由はよく分からないが何か
の心情的な変化があったのだろう。
心のきれいな、でも繊細な子でもあったから、私は仕事以外の部分でも協力
というか安心を提供したいと思っていた。無論肉体的な欲求などない、普通に
「いいオジサン」でありたかった。でも彼女にしてみればそんな気遣いは余計な
おせっかいだったのかもしれない、それが重かったのかもしれない、私はただ単に
仕事先を紹介する業界人であればよかったのかもしれない。
また別の理由としては彼女の働く店を管理する者(今回の協力者の1人)の
管理体制に何らかの手落ちがあったのか?
あるいは彼女自身の生活の中に問題があったのか?
それともまったく別のところに問題があったのか?などなど考えられるが
今となってはその答えは永遠に分からない。
・
しかし無理も無い話なのだ。
このような仕事を好きで選んで働いているならいざ知らず、殆どの子は仕方なく
生活のために自分の人格の一部を殺して働いている、目的はただ一つ金。
だから平気で嘘もつくだろう。
こちらがいくら誠意を尽くそうともそれは無駄、他にもっといい条件の働き先があ
れば簡単にそっちに流れてしまう。そこに人情などは欠片もなく、あるのは
ただただ「無尽」、それがこういった業界の常識であり本質なのだ。
そしてそこを本当に理解できていれば問題はないのだ、次々と女をスカウト
から買っていきさえすれば、いづれは人数も増えてゆくというものだ。
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実はここが一番重要で、どんなに女にフケられようと、損な買い物をしたと
思おうと、捨て身の覚悟で続ける気持ちさえあればよかったのだ。それでなければ
この作戦は成功しない、途中でやめるなら初めからやるべきではないのだ。
途中の計算などしてはいけないものなのだ。
私もその覚悟で今回の作戦に挑んだのだ。
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だが今回の作戦の参加者にそこまでの気持ちは充分浸透していなかった。
1人女が連絡がとれなくなる度に不満の声が上がった。
スカウトの質が悪い(仕入れの問題)
女に対するクロージングができない(時間の問題)など。
そうなると些細なことから疑心暗鬼の芽が頭をもたげてくる、そうなったら
もうおしまい、ちょっとブーなら入れ込む店がないとか、年齢確認がないから
買い付けもやめようとか。
負の連鎖は良くない方向の考えばかりで保守的になってしまう。
これが資本力を保持しているなら簡単に解決できる事柄なのだが、使える金に
限りがある場合はそうも言ってられない。小さな問題一つが死活問題となって
のしかかってきてしまう。
それなら大きな傷となる前に退却の決意をすべき、小さな損のうちに収束を
させようと思い始めたのだった。
たったそれだけの負に臆してしまうような浅い決意だったと思われても仕方が
ないが事実は事実である。金のない人間がやるべき事ではなかった、もっと組む
相手を厳選すべきであったというのが私の感想だ。
次回やる機会があるとすれば金のある相手と組んでやってみたい。
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上記の話は約1週間前。
ということで、次は何をすっぺか?と、なるわけだが私の人生は大波小波の
連続で次の波はスカウト話だった。
スカウトとは自分でスカウトをする事。
今まで一度もナンパすらした事のない私にとっては未知の領域、でも一度は
トライしてみたかった事の一つ。
なんであんな男が女をゲットできるんだ?と、いつも羨ましく思っていた。
知らない女に声を掛けるなんて、思っただけで足がすくんでしまう、そんな
勇気がもてたなら今までの人生はもっと違ったものだったろうに、などと考えを
巡らせ、でもせっかくのチャンスを与えてくれる人が現れたわけだし、ここは
自分を奮い立たせるしかない自分のNGをクリアーしたる!!
金もないし時間はあるし、まぁ勧めてくれるからいい機会かなと。
考えてもみれば自分でスカウトさえできれば、女の仕入れに心配も無い、それこそ
女の質がどうのこうのなんて問題も起きない。今後色々な場面でこの経験は役立
つだろう。という期待と不安の入り混じった初夜を迎える処女のような気持ちで
スカウトを習ってみることにした。
・
結果はこの1週間でたったの7名。
名刺を渡すところまでこぎつけたのが7名、レベルの高い子を専門に声を掛けるよ
うに指示されていたので、こんな数字だったが私なりに努力したつもりだった。
スカウト自体は楽しいと思えた、タイミングさえ合えばまさかと思うような子
が足をとめてくれるものだ。これで喰っていければ夢のような仕事の一つだと
思う。
ただ私には決定的に時間(金)が無いという問題点があり、結果がでるまで
ゆっくりスカウトを楽しむという余裕はなかった。
とても残念、未練いっぱい、慙愧に耐えない、難癖つけてでも私は自分の人生の
軌道修正をしなくてはならなかった。
どうしても自分の中でケジメをつける、このまま甘えていてはいけない。
そういう衝動に突き動かされてしまう自分があり、これは焦りからくる間違えた
判断であることも分かっているが、その輪を、せっかくの出会いを粉砕しなければ
ならなくなったのも、元はといえば自分の判断ミスなのだから。
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そしてまた、次の波がくるのを私は待つ。
あと何回波にのれるのだろう?
最後は仕事を求めて福島の原発作業にでも行こうと思っている。
今回の一連の失敗で、それがまた一歩近づいたような気がする。
人生とは過酷なものだ、これが因果応報ってやつかもしれないな。
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258229 H24 7月13日 AM3時30分