もう既に?

施設に入所している老人たちを総じて「ご利用者様」あるいは
「ご入所様」などと呼ぶ。
私が勤めている施設では、ご利用者様と呼んでいる。

今日、ご利用者様の一人が亡くなった。
私も何度か介護をさせてもらった女性のご利用者様だ。
私が入社したときは既に容態も悪かったが意識はあった。
ただ、呼びかけに反応するだけで会話はしてない。

たまたま昼休みに、そのご利用者様の搬送現場を通りかかった
ので、その搬送作業を手伝って知った。
正面玄関が階段になっており、重たいので私がたまたま手伝ったのだ。

その時の私は、悲しみとか、哀れとか、そういった感覚はまるでなかった。
日が浅いせいなのか、それとももう私は恐れていた感覚になってしま
っているのか?
仕事という感覚の中で「鉄の心」になってしまっているのか?
一粒の涙どころか、この日記を書くまでは「その事」も忘れていた。

今、書いているのは、そういった自分を否定したいが為。
乾いちゃいけない、どんなに忙しかろうと乾いちゃだめだ!
自分を封じ込め、自分を捨てようとしているが、
やはり「心」だけは残さないと・・・
せめて、この日記の中の俺だけはそうありたい。

177647 H22 10月29日 PM11時15分