雨
小雨がまだパラついていた昨日の夕方、弁当を買いにコンビニへ。
途中、後ろから来た車が5〜6メートル先で急に蛇行するようにして停まった。
そして車はすぐに発進して走り去っていった。
その車は、何か道に落ちている障害物を避けたようだった。
路上の水溜りの淵に、その障害物はあった。
まるで子供の長靴の片一方か、黒いゴミビニール袋のように、それは濡れた
地面の上に無情にあった。
車に轢かれたネコの死骸だった・・・
と、思ったが、どうやら轢かれたわけではないようだった。
ただ雨でずぶ濡れになって、今にも死にそうな、そんな痩せこけた子猫だった。
「生きていけるんかな?可愛そうな命だ・・・」
そう思いながら、私はその場を通り過ぎコンビ二へ向かった。
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実はさっきある女の子(20歳)を送っていく途中だったのだ。
その子とは先週の金曜日から寝起きを共にしていた、つまり沖本事務所久々の
修業生だったのだ。
だったとは、今日が彼女の修業卒業日であり同時に引退日でもあったからだ。
その子はそう、あのささみを彷彿とさせるような子で、経験人数も少なく
フェラなど私が初めてだという初心者ぶりだったのだ。
その子にこの一週間でテクを教え込み、一昨日からは風俗店も紹介して、さあ
これから稼いでもらおうと思っていた矢先に
「やっぱり辞めたいです、地道に働きながらモデルを目指します。」
と、こられたもんだ。
彼女は、グラビアモデルでの成功を志す夢見る少女なのだ。
だからルックスはいいほうだし、何も知らない田舎者だから好都合だったのだ。
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たまたま紹介した風俗が池袋で、そしてたまたま偶然にも彼女が通っていた
芸能スクールの同期生と偶然にも街で出会ったらしい。
そしてたまたまその同期生も一人暮らしをしており、ルームメイトを探していた
ところだったそうだ。
せっかく順調に仕上がってきていた20歳だったが、そこは今時の20歳。
気の合う同姓との共同生活のほうがいいに決まってる。
そこで私にお断りをしてきたのが昨日の昼だった。
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「それなら仕方ないな、いいだろう好きにやればいい、でもな俺もここまで
指導してきたんだ、だからどうせ辞めるなら俺から合格点をもらって、この
修業を卒業してもらいたいんだ、俺をイカせてみろ」
てな事を言ったんだ。
そして彼女はここ1週間の修業の成果をだして見事合格したってわけさ。
私としちゃ、「ああ気持ちよかった」と「手放すのは惜しいな〜」という2つの
気持ちが交錯していた。
さらば、ささみ二世〜!!って感じだったな。
彼女にしてみればその気はないのだろうが、私にしてみりゃ捨てられたも同然、
酷く惨めな、やっぱ俺ってダメだな〜っていう焦燥感も漂う。
それでももう終わった事だし、抜いてスッキリして腹がへったので弁当でも買お
うとコンビ二へ向かっていたのだった。
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弁当を買い帰り道を歩いて、さっきの子猫の場所にきた。
子猫はまだ道路の端に潰れたようになってずぶ濡れだった。
コンビニで「のり弁」か「から揚げ弁当」でも買ってりゃ、竹輪の一本もめぐんで
やりたかったが、あいにく買った弁当はスパゲティーと、いなりと、いちごオレだった。
「子猫が食いそうなモノないな〜」と思っていると、
なんとそのずぶ濡れネコが、私のほうに寄って来て、
私の足元に身を寄せながら、私を見上げ
「にゃ〜」と、か細い声で鳴いた
そして雨で濡れて風邪でもひいたのか、ネコなのに
「クシャン、クシャン!」と、くしゃみ?だろうか・・・
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そんな子猫をそのまま置き去りにできるだろうか?
飼うなら本当は犬がよかった、ゴールデンリトリバーで名前も「べス」と決めてた。
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でもまぁこれも一つの出会いかもしれない。
真っ黒で、お世辞にも可愛いとはいえないような痩せネコだけど。
もし体調が復活し、生き残れるなら
飼ってみようかなと思っている。
鼻水が止まらず、ネコのくせにズルズルって、イビキみたいな音でてるけど。
人間のエゴだとは分かっているが、
あの時の「にゃ〜」は
私を頼っているように思えて仕方なかった、
だから放っておけないのだ、できるだけの世話はしてみようと思う。
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PS
ネコもスパゲティーなんて食べるんだ!
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142936 7月3日 AM3時15分