苦笑

昨日までは不況の煽りで仕事を失い、さてこれからどうしたものか?・・と、
ため息の連続であったが今日は違う。
捨てる神あれば拾う神ありということわざのような出来事があった。

もう制作業は撤退し、かといってどんな職業で働くべきか、少なくとも
自分からは制作の営業はしないと心に決めていた。しかし私のような人間は
所詮女がらみの職業でなければ喰っていけない。
そこである人に相談かたがた会っていた。
その人は将来風俗店をオープンさせる構想がある、私は毎日ヒマなのでその
人の協力者という立場でスカウトマンを紹介したり、スカウトマンから買った
女を預ける店などを紹介していた。
今日の相談というのは、今までやっていたメーカーの仕事がなくなりそうだ、
ついては私も今後は制作から撤退し別の道を探そうと思う、であるから今まで
のような協力もあまりできなくなるだろう。との事だ。
それを聞いたその人は「それなら俺がアニキの制作の仕事をつくるよ」と言って
くれたのだ。
私は嬉しかった、ただただ嬉しかった。でもこの不景気の中、負担をかけること
もできないのでその話は保留にしてもらうよう言った。何故なら私の価値とは、
女を安く入手するスカウトマンという手段にあるのであって、私の作品にはそれ
ほどの価値はないだろうと思っているからだ。
その人は言う「アニキの今までのスタイルじゃダメだよ、俺の客はコアだから
お客さんを向いたような作品を撮ってくれりゃ売る自信はあるよ」と。
その人とは、以前にも書いたが私をあだ名で兄貴と呼ぶ新宿にある老舗盗撮メー
カーの社長である。その人自身は盗撮の仕事がメインなので、私のやっているよ
うなカラミ(SEXあり)の仕事にはまったく別の感性でみれるのだろう。
私は「宜しくお願いします」と頭を下げた。

夕方からはいつもの将棋友達の新宿の事務所へお邪魔して一局。
するとその友人「カメラマン募集してるからいってみたら?」と教えてくれた。
日当は3万〜だそうで知り合いのメーカーらしい。
私は気が進まなかったかったので、電話番号だけを教えてもらい別の日にでも
行ってみようと思った。
するとその友人「早いうちに行ってきなよ俺が電話してやるよ!」と、電話した。
その友人も私の窮状を知っていた、毎日ヒマでそれこそ毎日電話をしていたから。
カメラマン募集のメーカーは代々木だそうだ。


ちょうどその時だった、昨日のブログで登場した同業者から連絡がはいり
「沖ちゃんいい仕事がみつかったよ、明日事務所においでよ」との朗報。
なんだ今日は当たり日だな・・・などと私を応援してくれる人々に感謝しつつ、
またやっぱり私はこの業界から離れられないんだなと思いつつ、友人が送ってくれ
る車の中で考えていた。

代々木の会社はマンションの一室にあった。
仕事内容は普通のハメ撮りの仕事、私にはあまり経験のない分野だ。だが考えよう
によっては私はそれ以上の難しい分野で5年も喰ってきたのである。カメラワーク
さえマスターすれば全然楽勝である。
それに条件がいい!上手くすれば一日20万ほどの収入になるのだ。一にも二もなく
私は承諾した。条件さえ揃えば月200万以上も夢ではない、なにしろ月10人でも
20人分でも買い取ると言ってるのだ。
とてもじゃないが私の手に余る仕事量だ、そこで例の同業者にもこの話を振ろうと
連絡をすると、何とさっきの電話の「いい仕事がみつかった」とはこの話のことだった。
偶然にも同業者と私は同じ仕事をお互いに振り合おうとしていたのだ。しかも同業者と
代々木の社長とは古い付き合いだそうだ。
時々こういった妙な偶然は身に起こるが、今回は良い偶然だった。
取敢えずはリハビリも兼ね、週一ペースでやっていこうと思っている。

この業界も喰ってくぶんには捨てたモンじゃない。
一日前の昨日とは随分違う私に、ゲンキンだなと自分自身苦笑している。

135943(99) 2月17日 PM11時55分