熱帯夜

この何日か連泊していたアキ、私のたった一人の女友達。
そのアキが言うには長年彼女に貢いでくれていたパパさんから
捨てられそうとの事。
新しい彼女が出来たのか不景気かは分からないが、最近では
生活費をくれるのがやっとで、「もう無理だよ、限界だから」を
連発しているらしい。
アキも自分で仕事をして生活するよう勧められたそうだが、今ま
でまともに仕事をしたことのないアキには到底無理だろう。
昼間の仕事を求めて面接へ行くたびに文句ばかり言ってる。

そんな彼女が最終的に決めた仕事は風俗。
私に相談してくれればいいものを・・・と、思うが。まぁそれは
さておき、その店は本番ナシのスマタ、フェラの店だそうだ。
手取りが少ないし自信がないともアキは言っていたが、仕事がない
よりはマシだろうと私は思う。
ところがアキは、スマタというサービスを一度もやった事がない。
そしてその店ではサービス内容の講習もしてくれないそうだ。

「友達として相談にのって欲しいんだけど、スマタを教えて」
アキは私にそう言って来た。
この何日か連泊していたのは、それを私に頼む為だったのか?
それを言えずにいたのだろうか?理由は定かではないが・・・。
アキとは肉体関係はないが、頼まれて断る私ではない。
「もっと早く相談してくれりゃ、別のコトも教えてあげたのに」
なんて言いながら私はパンツを脱いで部屋を暗くした。

ついでにフェラもさせようとしたが、アキは頑なに拒んだので、
スキン着用でのフェラをさせた。
ゴムフェラか〜・・・
懐かしい・・・20年以上前、ヘルスが流行り始めた頃、一度だけ
ゴムフェラというサービスを受けた事がある、それ以来だった。

私はゴムフェラをされながら思っていた。
仕事の相談とはいえ、これで純粋な女友達ってヤツがまた一人も
いなくなっちまったなぁ〜、と。
そしてその昔、私が守りに守っていた童貞を、あっけなく田舎の
風俗店で捨ててしまった時の様な、小さなショックのような、なん
とも言えない切ないような気持ちになった。
別にアキが悪いわけじゃないし、私も協力しての事だからアキには
何の責任もない、だからアキにそれを気取られないように茶化した。
「20分勝負するか?俺を20分以内にイカせられたら賞金がでるぞ、
 でも20分以内にイカせられなかったらアナルSEXだぞ、
 ビデオの中でもよくやるんだよ、ルールは簡単、手と口だけを使って
 俺を射精させればいい、俺は20分間受けるだけ、どう?」

「嫌です〜、教えて貰ってるだけでいいんです〜!」
アキはテレながらそう言っていた。
私は内心ホッとした、実は射精が近いのを感じていたからだった。
ギックリ腰で2週間近い静養の間、オナニーを断っていたせいか、
それともアキのけな気なぎこちない仕草のせいか、その日のアキの
手コキは、ここ近年では味わった事のない気持ちよさだった。

「あっもうちょっと上、もうちょっと強くだ・・・」
私が射精の瞬間が近づいたときだった
「ハイ終わり〜」と、アキの手が止まった。
「何だよ!もうちょっとだったのによ〜」と、催促したが
「スマタを教えて貰うだけなんだから〜」と、笑っているアキだった。

この私が「寸止め」なる高級テクニックを喰らわされるとは!
寸止めされたのは全くの偶然だっただろう、電気を消した部屋の中では
睾丸の縮み具合も我慢汁の滲みも、筋肉の痙攣も私の表情さえ、きっと
アキには分かり得なかったと思う。
中途半端な行為ではあったが、女友達のアキに対し最後の一線を越さな
かった事は、それはそれで良かった。
真夏の蒸し暑い夜の思い出の一つとしては、それも一つだと思う。


土曜日から3連休。19日
実家の外壁工事もようやく終わりやっと植木の作業もできる。
私の腰も完治してないが、コルセットをしながら慎重にやればなんとか。
そう思い、植木鉢を両手で持ち上げて、その植木鉢を地面に下ろそうと
したせつな!
腰骨から「ビリッ」っと音がしたと思うくらいの激痛に見舞われた。
その場で、シリモチをついた形で動けなくなった。
ギックリ腰の再発だった。
おかげでこの数日間、またまたリハビリ期間となってしまった。

「力仕事をするわけじゃないんでしょ?」と、心配する母だが・・・。
私の仕事は「腰が動かせないのは致命傷だ」、とも説明できない。
そろそろ仕事も詰まってきている、今週中には撮り終えたい作品がある。
こんな時に別件で仕事が舞い込んできたりもして困っている。
本気で引退を考えたくなっている私だ。

119035  7月23日  24日 AM0時15分