地雷

ついに心の病が再発してしまったようだ。
昨日までは月曜日はチュララ〜♪、などと鼻歌まじりで書いて
いた日記も、今日はそんな気分では書けない。
朝から大家さんに陳情の電話。
それに2Fの住人にも直接文句を言いに行ってしまった。
私も苦しい気分で、油汗をかきながら必死で今の心境を綴ろうと
少しずつ日記を書いている。

住人は50代くらいの私より年配の方で、いかにも温厚そうで
笑顔は素敵なんじゃないかな?と、思わせるような人物だった。

住人曰く
いらっしゃるとは思わなかった。ベッドの組み立てをしてまして。
それを間違えて組み立てて、やり直してしまって。
私が馬鹿でした、本当に申し訳ありませんでした。
もう二度と音は立てません、どうかお許しを。

みたいな土下座する勢いでの平謝りであった。
余程私に早く引き取って欲しかったのだろう。
であるから誠意はあるのだろう、悪気もなかったのだろう。
おかげで
どこかの骨や歯が折れたとか、警察沙汰になったみたいな事には
ならずに済んだ。

そしてその事を大家さんに陳情したのだ。
何の落ち度もなく、一方的に迷惑を掛けられた私が精神的な苦痛
を感じ、それにより心の病が発症したこと。
事前にあれだけ警告したし、管理会社にも相談したこと。
私が病院で診察してもらい通院し診断書を手にし、もしそれを行使
すれば家賃はおろか立ち退き料も含めて、莫大な慰謝料という形で
請求する事になる事。
そしてその意思はまだない事。
もう少し様子をみて、体調が復帰するよう努力してみる事。
体調が復活しなければ仕事もできず、家賃は払えない事。
大家さんは良い人だから、最悪の結果は招きたくない事など。

きっと私は地雷のような性格の人間なのだろう。
ヤクザ、総会屋みたいな困った面も持ち合わせているのだろう。
来年から陪審員制度が導入されるが、そうなった場合私のような
タイプはどのように裁かれるのだろう?

今日の一件は、家賃を滞納したあげくその言い訳どころか、病を
悪用した合法的な錬金術と判断されるのか?
家賃という義務を果たさぬ者は、居住者としての権利はないのか?
では滞納してなければ、診断書の行使がより有効なのか?

どちらにしても「何が起こるか分かったもんじゃない」と、言いたく
なるような迷惑な話であり、その張本人が私なのだ。
だから、私はそのような私を死ぬほど憎んでいる。
どうすればいいのだ?とも本気で悩んでいる。

当然この件に関係してない者に対しては、悩んでいる素振りさえみせ
ない。きっと話せば「まさか」と、私の事を思うだろう。
だけど私には深刻な事であり、それを相談できないでいる間は平然な
フリをしているが、実はそれも我慢の連続なのだ。
つまり私は平気なフリにみえる病人なのだと思う。

もう少ししたら来客の予定だ。
アキも遊びにくると言っていた。
関係のない人にイライラ感が伝わらないよう気をつけよう。

気にすまい気にすまいと、自分に言い聞かせていた私がどうして急に
こんな展開に発展したか?
それは昨日泊まりに来ていた渋谷の子が
「さっきから上の物音がうるさいね」、という一言がきっかけだった。

渋 ねぇ、上の人なにやってるの?こんな時間に。
私 やっぱり気になるか?
渋 うん、だって普通にうるさいもん
私 まぁ生活音だしな、共同住宅じゃ仕方ないんじゃない?
渋 え〜私だったら許せないよ〜
私 でも、どうしいたらいいんだ?文句言うの?
渋 言わないと相手も分からないよ。
私 ん〜・・・一応大家さんとかには相談してるけどね。
渋 それって余計に大事になるよ、直接のほうが仲良しなったりする。
私 そうかな〜?器用に言えりゃいいんだけどな・・・・

こんな会話がきっかけだった。
結局今日の朝になって、その子が帰ったあとに私は住人宅へ行くことに
なった。
住人には私という神経質な男が真下に棲んでいる事も知られてしまった
し、大家さんにも余計な心配をさせてしまった。
どうなることだ・・・・・
その鬱憤を、撮影で晴らせという事だろうか?
それが必要悪の世界に生きる私の宿命なのだろうか?

104924(88) 17日 PM12時25分