聖バレンタイン

参っちゃうな〜、右目の奥のほうが痛くて眠れやしない。
今日は大事な試験日だっていうのにな〜。
圧迫感のある眼の奥のほうの痛みが後頭部のほうにも響いてくる。
眉間やコメカミあたりを指で押すとちょっとよくなるから、たぶん
ストレスからくる神経痛みたいなものだろう。
勉強のし過ぎってわけじゃない、たいしてロクにできなかったから。
ただこの学校に入るか入らないかで、今後の活動も変わってくるし、
具体的に違う一歩を踏み出すという点で大きな一歩なんだ。
普通に考えりゃさ月17万ぐらいの見習い給を貰いながら、現場で
技術を学び機会をみながら国家資格を習得していけばいいんだ。
民間ではあるが、園芸の講座(造園2級程度の知識)も終了してるの
だから、今更学校に行く必要などない。
それにこの学校は、年に3回も入校(試験)のシステムだから今回
受からなくても次のチャンスがすぐに巡ってくる。
もし今回試験に受かれば昼は学校に行き、夕方から時間限定で今の仕
事をしながら生活費を稼ごうと考えている。
この学校の就学期間は半年、だから今の仕事を続けられるのもあと半
年ぐらいだなって考えている。
だけど今の仕事にドップリと浸かってきた私でしょ、そう簡単に離れ
られるのかな〜って心配。
現実的には全然儲からないし、今だって苦しい生活してるけど、場合
によっては人が一生かかってやっと得れる大金を、数年で稼ぎ出す業
界でもあるんだ。
もっとも私の場合はプロダクションを再開すればの話。
制作ではとてもじゃないが喰っていけない、だけどもう一度根性据え
てプロダクションをやれば、人に負けないくらいのノウハウはある。
私が現役だった頃の5年前とじゃ、随分地図も変わっているだろうが、
やり方次第ではまだまだ美味しい業界なんだ。
問題は私自身なんだ、散々「沖本」って名前で制作活動してしまった
から、警戒されてしまってどこのメーカーも付き合ってくれないと思う。
だってそうだよな、例えばさ
「バッキーの者ですが、女を派遣して下さい」って言われて誰が付き合
う?警戒して関わりたくと思うのが普通だよ。
私はそこまで酷くはないが、似たようなものなんだ。
それに妙なライバル意識みたいなのがあり、制作会社から女の派遣を受
けるより、プロダクションだけをやっているプロダクションからの女を
受けたいとメーカー側は思うケースが多い。
何故かって?こっちが聞きたいよ、単純に信用がないって事だろ。
テメエの手垢の付いた女なんて撮りたかねぇよ!!ってな感じなんだろ。
それらの問題をまとめて解消できるケースが一つだけある。
それはいい女である事、最低でも並みの上クラスの女というのが条件。
そういう女が2〜3人いれば、どんな悪名高き相手でもメーカーの方か
ら「お幾らで撮らせてもらえますか?」と、摺りよってくる。
2〜3人いないとダメだな、1人だと当日ドタキャンの懸念でやはり警
戒される。
では、その上玉クラスを1人手に入れるにはどうするか?
まず10人中1人もいない。なにしろ自分が気に入っている子でも相手
が気に入らなくちゃいけないんだからね、そんな女は20〜30人に1
人いるかいないかだ。
そこでそんな女に巡りあえるチャンスは、自前でプロダクションをやり
大小様々な女たちをスカウトマンから買い取っていくか、毎月高額なモ
デル募集の広告料を払い続けるしかない。
そうやっていけば必ず、一年に一度か二度くらいはチャンスが来る。
つまりその間の無駄になるかもしれない金を、投資する覚悟のある者なら
チャンスもあるし、そういう神様的な人物がいて仮に私に投資してくれる
なら、私はきっと期待を裏切らないだろう・・・な〜んて思ってるのさ。

そんな非現実的?な未練もチラホラしてる。
きっとこれも長年この業界にいたおかげで、身に染み付いてしまった私の
悪い妄想癖の一つなんだろうな。
そういう妄想や先のない現実に嫌気がさして、やっと堅実な道を歩もうと
思ったから中学の数学だって勉強したのに、当の本人はまだ心の中じゃ揺
れ動いているって寸法さ。
まったく話にならんね、そんな事ではこれから園芸関係の仕事をしたとこ
ろで長続きすんのか?! 喝〜ッ!!!って感じだよ。

ホントこの先自分はどんな風になるのだろう?
先が真っ暗で頭がクラクラする、目の前の現実に眼を覚まさないと。
大金の投資はおろか、今日のチョコレートだって一個ももらえない公算が
大なんだろうからな。
チョコレートといえば、そうそう「義理のチロルでいいからお願い」っと
お願いしてたんだ。
それなのにあの子、連絡もくれないんだよな・・・
久々に本気で惚れた女だったけど、あっけない幕切れだったような。
もしかしたら今日連絡があって、「約束だったからあげるよ」なんて冷た
い言葉でもいいから言ってくれりゃな・・・
嬉しすぎて涙が出ちゃうんじゃないかな・・・
なんてセンチな事を考えている42歳のオッサンである。

現実はキビいぜ、どうせ世間の風も今日の北風も寒いってもんさ。
チェッ!こんな時間になっちまった、もう寝れないじゃんか!
ああイライラするな、
せめて早く春になれ!
この寒さをどうにかしろってんだよバカヤロ〜!!!!!!!!

94282   2月14日   AM3時45分