胆力

深夜のNHKはいい。
21歳の農村の娘の話を観ていて感動した。
貧しくても堂々と、そして夢をもち少女は生きている。
解説者たちも「胆力」「輪郭」のハッキリとした時代に生きる
その当時の人々の心持を評価していた。
私も本当はそんな生き方がしてみたいのだ。環境に恵まれ過ぎて
平和ボケしてしまった私は、ちょっと手を伸ばせば手にできる贅沢
や怠慢といった目先の誘惑に負け、すっかり我を失っている。
決して金持ちとか優雅というものではなく、ただ単にその日を暮ら
している私だが、その物語の21歳の少女は労働者として立派に生
活しているのだ。彼女の環境は、働けど働けど先の見えないくらい
に貧しいにも関わらず、立派に生計を支え青春を謳歌している。そ
の平凡な生活だけの姿だけど、その生き様は観る者を感動させる。
私といえばどうなのだ?「ただ単に暮らしている」ではなく、毎日
を浪費しているといった表現の方が相応しい。
去年まで月に3日だけ仕事をすれば生きていけたとか、仕事が減って
1ヶ月も仕事をしないでも平気で遊んでいられるとか、そんな自分が
情けなくとても嫌だ。「それは生活力があるから」と、良く言ってく
れる人もいるが違う。私という人間は、人の性欲という欲に便乗した
コズルい奴であり、言わば模倣犯(猿真似)でしかないのだ。
それを知っているからこそ、他人には作れそうもない作風を目指した
のであり、他人に何と言われようと演じてきたのだ。追随を許さぬ作
品こそオリジナリーであり、そこに嫌悪こそあって感動はなくとも。
それは私の生活の術、人格を偽っても、生きるためにしてる事。

そう、そしていつもこの様に弁解を・・・。
なんて汚いんだろう俺は、自分をも納得させてしまう詭弁をいつも!
嫌だ嫌だ、いつまでこんな人間をやっているんだろう?

解ってはいる、だから葛藤の連続であり、言い訳の連続であり、その
先には、一人また一人と去ってゆく知人が出るだけで何もないのだ。
寂しさに耐え切れず精神が崩壊し、恍惚の人みたいになれればと何度
願った事だろう。天罰や試練を心から受け入れたいと思う日もある。
きっと、今の仕事を続ける限りは、こう思い続けるのだろうな。
抜けてやる、今年こそは今の仕事から絶対に足抜けしてやる!と。

貧しくとも少女の様に、日々のちょっとしたところでも幸せを感じら
れる様な誇りを持てる、そんな仕事や生活に強く憧れる。

90596   21日  AM2時5分