大忠臣蔵
昨日の連絡では「朝一番」と言っていたが、モデルが事務所に到着
したのは12時を回っていた。
大忠臣蔵の一番いい見せ場になって、ようやくピンポ〜ンとチャイム。
「遅くなってスイマセンでした」の一言もなく、モデルは澄ましていた。
これだからプロダクションに属している高級モデルは気に食わない。
「まぁいいわ、仕事で借りを返してくれるぜ」
そう思いながら、改めてモデルの顔を見ると!その子の顔は、私が19才
の頃に一方的に片思いして、挨拶も会話もろくにできなかったあの憧れの
クラスメイトにそっくりではないかっ!
こんな場面で・・・・。 さすがは大手プロダクション、いいタマだ!!
だが私もプロ、そんな事はおくびにも出さず撮影を開始した。
撮影を開始して20分ほど経過しただろうか、なんかどうもおかしい。
私の言葉を理解してない?というか、それでいてそれが嫌にならない・・・
ならないどころか、理解力の乏しいその子が妙に愛おしいのだ。
・・・・・・私の作品はある意味難しい、役どころをモデルが理解するま
では・・・・いや違うぞ、こいつ天然だ・・・
どこかにあったぞ、このフレーズ・・・・そうだ!こいつの性格は・・・
思い出したぞ!こいつの性格は、あの「ささみ」だっ!!
・
今日のモデルの子は、一方的ではあったが過去に私が最も好意を寄せてい
た二人の要素を持ち合わせた子であった。
・
なんという偶然だろうか?!
もう二度と会うこともないであろうあの二人に、こんな形で再会しようとは。
今日の撮影が擬似SEXの撮影でなかったら・・・
どんなに時間がかかろうとも、口内でもいいから射精をしたかった。
いやいや射精なんてどうでもいい、黙って抱きしめているだけでいい、
モデルには何も分からないだろうが、そうやっていつまでも思い出を反芻し
ていたかった。
現実は悲しいかな、撮影開始が出遅れているため担当者が時間をひどく焦っ
ており、いつもより早めに撮影を切り上げ早々に帰っていった。
・
不完全燃焼だなんて思ってはない、ほんの触れ合いではあったが懐かしく、
今でも愛しいあの二人に再会できたと思えば満足だ。
しょっぱい涙も、ささみの涙と同じ味だった。
「アソコの毛を毟られたなんて今日の撮影が初めて」なんて、今日のやつ
可愛い事を言いやがって・・・。
でもな〜、こんな形でしか愛情表現できない私は、やっぱりSなのかな?
プライベートで女に優しくしたいと本心から思うのは何なのだ?Mかな?
複雑怪奇な心や行動を、私は自分でもよく理解できない。
・
83056(243) 12日 PM9時55分