惨敗

ここのところ営業をし、やっと貰った仕事が一本あった。
それが昨日15日の仕事で、ギガというメーカーの男優だった。
そのメーカーは「戦隊モノ」という所謂かぶり物を被り、怪物が
美女戦士を捕らえアジトで犯すというVシネ風のドラマモノだ。
私もショッカーのような戦闘員に扮し、男優として撮影に参加し
た。
私の役どころは美女戦士を犯す役でその場面だけは、業界用語で
「抜き差し」といい、スキン着用での本番シーンである。
何故私が「抜き差し」役だったかと言えば、事前に責任者と電話
で喋ったときに、日常の面接などでハメ撮りをしている事を喋って
おり「ああ本番ですね、勃起力と持続力には自信ありますよ」など
と、本当に自信があったので軽く引き受けた仕事であったからだった。

撮影現場で、いざ私の出番がやってきた。
ところがどうした事だ?オチンチンがウンともスンとも・・・
勃たないのだ!!
私は焦った、どうにかして勃起させようと試みたが、まるで不能
なってしまったオチンチンは、スネた子供のように言う事を聞かない。
シャワーを浴びなおしたりフェラして貰ったり、ようやく勃起しても
挿入しようとするとダメになる。
何度もやり直したが結果は同じ、私のせいで現場は止まりスタッフ
一同に多大の迷惑を掛けてしまった。
以前にも同じような事があったが、その頃は体調不良の頃。現在の
様に体力気力ともに充実している時の不能は初めてだった。
現場は止まり、私の「勃ち待ち」という焦りのアリ地獄状態!
結局は、見かねた若い二人(本来は本番男優ではない)が、私の代役
をかってでてくれたので撮影は終了したが、私はもう穴があったら
入りたいという言葉どうりの心境だった。
「皆さんご迷惑をお掛けしました、スイマセンでした」と、言うのが
やっとであった。
責任者が「ギャラの清算をしましょう」などと優しい言葉を掛けてく
れたが、そんなもの受け取るわけにはいかない。
「仕事にならなかったので、出直して来ます」とだけ言って撮影現場
を後にした。
私は逃げるように現場を出て駅に向かったが、すでに山手線の最終電車
の時間も過ぎていた。
正に惨敗の日であった。
チャンスがあれば借りは返したいものだが・・・
それにしても、現場の皆さんにはご迷惑をお掛けして申し訳ありませで
した。

77915    16日   AM2時20分