早朝のカラス

AM5時、汗ばんで目覚めた。
昨日早くに就寝したのでこんなに早く目覚めてしまった。
外ではカラスが鳴いている、早朝から騒がしいことだがあの声も今
では都会の早朝では当たり前の「朝の音」である。
朝の目覚めの鳥の声といえば、チュンチュンという雀の声の方が一
般的かもしれないが都会でそんな声を聞いたことはない。
一時期の害鳥騒動も最近ではなりをひそめている、都が定期的に駆
除をしているのでその数を減らしているからだ。それでも生命は強
いものだ、朝方にカラスの鳴き声を聞きながら出勤する者は今でも
多いのではなかろうか。生命とはそういうもので、生まれてきたか
らには生きていく・・・もう、あるののだから。
早朝に家に帰り、また家を出て行くとき、女房は化粧はしてないも
のだ。男はその素顔を見て安堵する、その嘘のない素顔に愛おしさ
を感じるものだと思う、少なくとも私はそうだった。さっきまで会
っていた化粧の女よりは素顔の方が私は好きだ。
「いってらっしゃい早いのね」
「おかえりなさい、遅かったわね」
どちらの場合も眠たさの中に、頭に残る印象的な言葉である、その
言葉を聞きながら、男は心の中で懺悔するものなのかもしれない。
男の性は、心と体がいつも同じではない。女とは違うのだ。
どんな女よりも純真で真直ぐだと思えば、時々子供のように無邪気
な悪戯心が頭をもたげるものだ。
私は肯定も否定もしないが、それが男の性でありオスの本能なので
ある。
「浮気をしているのではない、ただの行為だ」、この言葉を何万回
繰り返したところで女の心にはけして響かない。だから言わないだ
けだ、隠すのも優しさの一つなのだ。
気付いた女が怒り出すその前に、すでに女の素顔を見て男はその度
に心の中で懺悔しているものだ。・・・だから男は弱いんだ。
カラスの声に、ちょっとビクつきながら・・・そして強いのだろう。
浮気という性の必要悪が何故存在するのか? それは種を残すとい
う強い本能と近親交配を避けるという、これまた強い警戒本能が生
み出した副産物ではないだろうか?
良からぬ事と言われつつも、いつの時代にもあった事だ。
カラスが都会で生きているのとよく似ている。
私の仕事ともよく似ている・・・同病相哀れむ・・なのか?・・。

13233(218)             AM6時40分