ホールインワン初体験

小高い丘からグリーン目掛け打った球は快心の1打だった。
林の陰で見えにくかったが確実にグリーンを捉えていた、誰かが言った
「入ったんじゃねぇの?」
遠くのグリーンの方から小さな歓声と拍手が聞こえた。
ゴルフを殆どしたことのない私だが、まぐれのホールインワンだった。
野原のような所で祝いのバーベキューの準備をしてくれている、雑誌を
椅子代わりに座っていたが、紙が燃え出して熱い。
料理は大きな魚の丸焼きだった、豚の丸焼きのように火の上でグルグル
回して魚を炙っているが魚はまだ生きているようだ、体をブルブル震わ
わせ断末魔の形相。それを見た一人の女が魚に言っている
「あんた、そんなに恨めしそうな態度とるんじゃないわよ」
「えっ!苦しいの?どうなの?素直に食べられなさいよ!」
その女は元私の上司だった。私はその上司に「可哀想なこと言うなよ」
と言いたかったが逆らえず、ぐっと我慢しているだけだった、そんな私
は自分自身を情けない奴だと思っていた。
その時、今度は私の元部下だった奴が現れて生意気な言葉で私に喋る。
風水で使うという「落雷の瓦礫を渡る象」なるものを見せ、私に講釈をし
ていたがその態度はあまりにも横柄だった。「 危険な場所は安全な乗り物
でゆっくり渡るのだ」などと言っている(何のこっちゃ?)。
そいつの講釈は訳の分からん長話しで、私は聞くに堪えられなくなり
そいつの襟首を掴むと「目ぇ覚ませっ!おらぁ!!」とばかり背負い投
げで投げ飛ばしてやった。
その途端、私も目が覚めた。 変な夢だった。

目覚めた私はふんどし一枚だった、そうだ昨晩寝苦しかったのでこの格好
で寝たんだ。耳栓をして寝たから圧迫感のある夢を見たのだろうか?
夢の中に象がでてくるのは縁起がいい筈だが?そうだ確か釈迦が生まれる
とき白い象に乗ってきたという言い伝えもあるしな。
白い象といえば、亡くなった祖母が死の間際に「白い大きな象が迎えに
来るの」と言っていた(亡くなったのはその2日後だった)。
少女は白馬の王子を夢み、老人は白い象の夢に怯えるか・・・。
私は白いメルセデンスに乗りたいねぇ、蹴ったくりマシン(チャリンコ)
じゃ疲れるわ、特にこんな雨の多い時期は。

5823(132)                 PM1時35分