夏服を着て

ちょっとした打ち合わせが終わり池袋の事務所へ帰る道のことだった。
私の斜め後ろから足早に近寄ってきた男が
「ちょっとすいません!聞きたいことがあるんでいいですか!」と、肩
に手を掛けた。    ↓(警官に)
私は街を歩いているとよく声を掛けられる、ショッピングをしていても
そうだ。だがこの場合はショッピングの時とは明らかに違うニュアンス
なのを感じた。私服のその男はポケットから警察手帳を取り出して私に
見せるとこう言った、「間違っていたらごめんなさいね、人を探してい
るんだけどあんた佐々木さんかい?」
私が違うと答えると「じゃあアンタの本名は?」と私服警官。そいつは
すっかり私を疑ってるのを私は感じた。ちょうど間の悪いことに私は身
分証明を所持してなかったので「ちょっと署までご同行を」なんて言わ
れるのが嫌だったのでこう言ってやった。
「そんな奴は知らんけど、俺の人相そんなに悪いのかい?」って。
信号待ちでこのやり取りを見ていた人達も、その言葉でプッと噴出して
周囲は一瞬笑いの渦になった。
「いやいや、ちょうどこんな格好の人を探していたもんで・・・」私服
はそう言葉を濁して去っていったが私には不快感が残った。
池袋とはこういう街である、私のような善良な区民が歩いているだけで
どこかの犯罪者と間違われてしまうのだ、まったく胸くそ悪い。
事務所へ帰ってジュンに「俺の格好どう見える?」と尋ねると「チンピ
ラみたい」と言われた、まったく心外だ。私はただ夏らしいガラのある
服を着ていただけだ、ふんどし姿で歩けとでもいうのか!(今日もしっ
かり下着はふんどしだけど)。
私の殺気を感じたのか水槽ではカイアンが大暴れしていた、魚にまで気
を感じられるとは・・・言葉もないのでブログに怒りをぶつけている。
昨年も似たような事があった、事務所で寝ているとピンポーンと誰かが
来たの出てみると「光が丘警察だけど」と、ふいの訪問者だった。
理由はここの住所に2年前から住んでいる男が発砲事件に関与してい
たので行方を追っているそうだが、そんな男も私は知らない、だいたい
私は5年前からここに住んでいるんだ!私の知らぬ間に勝手に住民票を
使われていたのだろう。 私は「こういうモノを撮っている者ですよ」
と、無修正のビデオをその刑事に見せてやったら「じゃ何かありました
ら御一報お願いします」なんて言って喜んで帰っていったが、何もあり
はしないんだと私は思っている。
物騒な事だ、放火犯に間違われて署に連行された事もあったし。
それに比べれば私がしている仕事のなんて健全な事だろう、少なくとも
私は人に迷惑を掛けるような人間ではない それは作品を観てもらえれ
ば充分納得してくれる筈だ。
マイミクも少しずつ増えている、分かってくれる人は解ってくれる。
その人達だけで私は充分だ。
池袋西口近辺は歌舞伎町に次いで重要パトロール防犯地区に指定され
ているそうだ。夜にパトカーとすれ違はない日は殆どない程である。

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