汚い部屋

雨が降り出した、まだ梅雨明けではないのだと感じる。
昨日(30日)は、ウチの事務所に同居しているジュンの自宅へ行き
引っ越しの手伝いをした。
ジュンの自宅は笹塚駅近くの甲州街道沿いにある、もう10年も借り
ているという古びたマンションの一室がそうだった。なかなかウチへ
引っ越してくる段取りをしないジュンに手を貸してやるつもりだった。
今まで彼女の部屋の前までは何度か行ったことがあるが、彼女はどう
しても私を中には入れたがらなかったので「部屋の中に死体でもある
のか?」などど、よくからかっていた。
今日はじめて部屋の中へ入った私は、そのあまりの汚さに驚いた。
そして彼女が私を部屋に入れたくない理由も、何故そうしているかも
すぐに分った、彼女は「片付けられない症候群」なのだ。
ウチでの彼女は、洗濯好きでシャワー好き、自分の肌に合った石鹸し
か使用しないし、他人の使いかけの化粧品など見向きもしないほど潔
癖症なのだ、同一人物の部屋とは思えないほど荒れた部屋だった。
風俗にながく働いている子は、どこか精神的にバランスを崩している。
接客に身を削りながら働く女は、人前では小奇麗にしているが自宅な
ど開放された場所では掃除を一切しないというケースが多い。そうす
る事により精神のバランスを保っているのだろう。彼女がよく口にす
る言葉は「いつまでも風俗なんてやりたくないの」である。
一日に5万円以上も稼ぐくせに貯金は殆どない、パキシルレキソタン
などの安定剤を服用しながら働いているのだ。若いうちはまだいい、だ
が歳をとってくると雇ってくれる店も少なくなる。そして風俗嬢たちに
追い討ちをかけるように風営法は年々厳しくなっている。
風俗店に働く最低限の条件として今までは、年齢確認、血液検査、身元
がしっかりしている(家出ではない)、違法ドラッグ、麻薬などの使用
厳禁などだったが、最近新に「睡眠薬、安定剤などを服用中の接客」
という一項が加わった。
男の欲望を、好きでもない他人の欲望を、笑顔で処理するのが風俗だ。
嫌いな仕事だけど、それしか出来ないから薬を服用してまでやっている
のではないのか?行政は「薬を飲むな」つまり「生きていくな」と言っ
ているのだ、そして「こうやったら生きていけるよ」という提示は何も
ないのだ。性的犯罪者が増えてもいいのだろうか? 性犯罪の温床はこ
ういった理不尽な法律からの起因が大いにある。
そして、そのような法律をかいくぐって生きてゆくのが必要悪の世界に
生きる我々なのだ。
5306(118)              AM4時ジャスト