反面教師

お犬様、将軍綱吉の「お犬様」ではない、AV業界の者なら誰でも、そ
の監督の名前だけは知っているであろう、ある有名監督の陰の仇名であ
る。本人は当然、その様な仇名で呼ばれている事は知らない。
その監督は一世風靡し、一時は業界の神様とまで言われていた。抜群の
頭脳と行動力は、監督を知る者なら誰もが口をそろえて言う言葉だ。
強いリーダーシップのある人間は、とかく口やかましい、些細な事でも
失敗すると まるでその失敗した人の人格を否定するような怒り方をす
るものだ、会社が順調な時はそれでも皆黙って従うか「あの人は成功し
てるのだからあの人が正しくて私が悪いのだろう」と、反省もするだろ
う。だが、そんな監督が事業に失敗し、地の底を這いずる様になり何を
やっても人に迷惑を掛け、悪の元凶のような存在になると周りの人達は
最も監督に相応しいであろう「お犬様」という仇名で密かに呼ぶように
なった。「お犬様」の由来は、強いものにはキャンキャンと、弱い者には
ウ〜ワンワン!!と、兎に角あいつは「うるさい奴だ」というところか
命名されたようだ。この場合、往々にして愛嬌のある仇名が付くもの
である。怒りを通り越して呆れているからであろう。
お犬様に関するエピソードを最近聞いたので記しておこう。
羽振りが良かったお犬様の事務所には、当時では珍しい業務用の冷蔵庫
ほどもある大型の水槽があり、その中に100匹ほどのピラニアを飼っ
ていたそうである。餌当番の者が餌代を請求すると、お犬様は無造作に
ポケットから5,6枚の万札を摑んで渡し新鮮な肉を買いに行かせ、そ
の肉を水槽に放り込んだそうだ。 その肉は数十秒でピラニアに食われ
るのだが、それを見ながらお犬様が「君!良く見たまえ、これが人生な
んだよ、これが!」と、のたまっていたそうだ。この世は弱肉強食だか
ら、弱いものはあっという間に食われると言いたかったのだろう。
ところがこの話にはオチがあり、一年後には 水槽のピラニアは、その
殆どがプカプカと浮いていたり、餓死していたらしい。お犬様の事業が
傾き餌もやれなくなっていたそうだ。大口叩きなお犬様の無責任な結末
を、まさしく「人生」としてピラニア達は表現していたそうだ。
私もアマゾン産の魚を何匹か飼っているが、お犬様のようにならない
よう気を付けねばと、しみじみ思った話である。
44879 (108)            PM10時2分
追加分
PM11時、叔父に連れられてユキコが荷物を取りに来た。
最期ぐらい笑って見送ってやろうと思っていたが、もう一人太った女
が部屋に上がりこんできて、「ここで荷物を詰めましょう」などど言っ
ているので、「あんた誰?」と聞くと、「ユキコの母親です」と答えや
がった。
私は間髪入れず、「ふざけんじゃねえぞコノヤロウッ!!」
       「挨拶もなしで入ってきやがって!!」
       「てめえに用事はねえんだ!!」
       「出て行きやがれ!!!」
と、あらん限りの大声で どやしつけてやった。母親は凍りついたよ
うに、何も言えなかったが 叔父が間に入って代わりに誤り、母親を
車に戻し二人で荷物をまとめて出て行った。
私も言いたい事は沢山あったが、一番言いたかった事を言えたので
スッキリした気分であった。
おかげで今日は、良く眠れそうな気がする。
44894 (15)            PM11時45分