さらば友よ・・

スノードロップは、この時期に開花する宿根植物である、名の如く
可憐な白い花は「雪の涙」の様にひっそりと咲く、数ある球根類の中
でも一番最初に開花するこの花を見ると、あともう少しで冬も終わる
なと、感じる。この花の後に水仙、ヒアシンス、クロッカスと続き、
ムスカリやチューリップが咲く頃には春になっている。
今年は寒波がひどかったので、全体的に植物の活動が遅いようだ。
この様な年の春は、きっと慌しくなる 一気に春が来ていっせいに咲
いて散ってゆくだろう。季節に沿って花を楽しむ私のような愛好家に
とっては、いい年ではない、一気に咲いて一気に散ってしまっては、
ズレた花期が限定され、機を逸する事が多いからだ。盆栽にも悪影響
がある、去年の例年にない猛暑で疲れた鉢物にとって、この寒さでの
ダメージは大きい、たぶん20鉢ぐらいは春になっても休眠から覚め
ない鉢物がある。去年家族で広島へ行った時、水やりをできなかった
ので、その時の後遺症だ。私と父が15年以上も前から育てていた盆
が主で、今では図鑑にも載ってない入手困難な希少種も含まれている。
不思議なもので、「お気に入り」な盆から順番でダメになる、目覚め
ないであろう20数鉢を屋上から1階へ移して、僅かな望みを託して
はいるが、余程の奇跡でもない限りそのような盆は、春になっても初
夏になっても、冬の姿のまま何事も起こらない事を私達は知っている。
その様な鉢を、いつまでも庭先に並べてはおけないので処分するのだ
が、その時が一番悲しい。「ポキッ」と、乾いた音で枝は折れる。鉢
から抜き取ると、決まってダンゴ虫が沢山いたりもする。その心情は
「昔からの友を失う」感覚と似ている、私でさえそう思うのだから、
父からすれば尚更だろう、父はそれぞれの木に愛称を付け、子供の様
に育てている、好きな旅行へ行く計画を立てる時も、いつだって留守
の間の水やりを最初に心配するのが父なのだ。「いろいろあら〜な」
と、父は言うが 私にはその言葉が、かえって重い。
私は両親に余計な心配を掛けたくない、昨日のような衝動的な行動を
してしまうのは、私の悪い癖だ。だが私なりに我慢している事もある、
体の不調を悟られないようにしている、昨日もギックリ腰になってし
まい、植物園から車に辿り着くまでも冷や汗ものだった。それでも車
を運転し、「治ったよ、軽くヒネッた程度だから」と、ズキズキする
のを我慢していた 今日も治ったフリで実家での一日を過ごしたが、
本当は靴下さえも自分では履けない程なのだ。 今月の16日からは
北海道へ流氷を見に行く計画になっている、それまでには治しておか
ねばいけない。こうしてパソコンに向っているだけでも腰が辛い。
よくギックリ腰になる母には、私のやせ我慢がバレているようで、
「体を横にして動かないのが一番よ、足を曲げて少し抱える様にする
 と腰に負担がないからね」と、教えてくれた。ちょうど母親の胎内
にいる胎児の様な格好で寝ると良いそうだ。
ちょっと窮屈な姿勢だが、今日はその格好でねてみよう。
「親の言葉とナスビの花は、万に一つも間違いなし」、とも言うし。
42969                13日 AM0時5分