欲しいもの

私は女房にするなら自分の母親のような女性がいいと思っている。
白状してしまうが、私は中学生ぐらいまで母に膝枕をしてもらった
事がある、当時暴走族が全盛期で私は西日本最大の「邪悪」という
暴走族の仲間とよく遊んでいた、喧嘩や悪いこともやったし、ヘア
ースタイルもリーゼントにして、ツッパッていた、その私が家へ
帰ると母に甘えて膝枕をせがんでいたのである、マザコンだったの
かもしれない、だが仲間にはそんな事、口が裂けても言えない事だ
ったし、年子の兄にも「気持ちわりいな」と言われたが、私は平気
だったむしろ母を独占できる幸せな気持ちと深い安心感を得ていた。
母と肉体関係があったわけではない、ただ甘えたかっただけである。
私が結婚していた当時も、毎日のよう妻に膝枕をしてもらっていた、
妻は、「あんた私はあんたの母親じゃないんだからね」とか「子供
が二人いるみたいじゃないの、私は誰に甘えればいいの?」と言わ
れたりした、離婚の2年前からは夫婦生活も一切無く、私は妻や子
共に甘えるような行為ばかりして、それが家庭の幸せなんだと心底
信じ込んでいた。今にして思えば随分と自己中心的な夫だったのだ、
仕事面で嫌な事があると、その行為は加速し私は妻の膝枕か、子供
(小学校3年生の男の子)を抱きしめて寝ないと眠れないようにな
ってしまっていた。そのくらい家庭を愛していた私でも外ではモデル
を相手に浮気をしまくっていた、結婚生活4年間の間で20人くらい
は浮気行為をしただろうか、中には彼女みたいな存在も2人いたので
性欲処理には困らなかった、商売上女を扱う仕事だから浮気もバレな
かったのだろうが、それなりの策もとっていた「ウチの女房は合法的
に今まで3人の男を殺してんだよ、もし俺たちの関係が女房にバレた
らお前の方がただじゃ済まないよ、浮気の場合、女は相手の女の方に
矛先を向けるだろ、だから自分が可愛ければ俺たちの関係を誰にも
喋るなよ」と、浮気相手を脅していたからだ。私が浮気をしていた理
由の一つに、結婚1年目ぐらいの時に女房が流産してしまった事が
あった、病院で苦しむ女房の顔と、手術後病理検査でガラスの平皿に
入れられた「子供のカケラ」を見せられ「旦那さんの精子にはなにも
異常はありませんでした」と、告げられた時 何故か女房にはもう俺
の子を孕ませたくないという感覚になったからだ。流産さえしていな
ければ今頃わたしには4才になる子供がいるはずである、結局女房と
は4年で離婚してしまうが、女房は離婚のキッチリ半年後に別の男と
結婚して、その男との間に男児を出産し、その子はもう6ヶ月になる。
時々、元妻からメールで子供の写真が送られてくるのを見るたびに、
私は自分の行いを後悔する、そして何も知らない元妻からメールで
「あんたはきっといい父親になるよ、いい人みつけなよ」と、書かれ
ているのを見ると胸が苦しくなる、「俺にそんな資格あるわけない」
と、思っているからである。それでも私は子供が欲しい、今度こそは
良き夫、良き父になってみせるつもりである、仮に妻が浮気をしても
私は許すだろう、それは自分への反省でもあるからだ、そして私は
妻や子供に私のやってきた事を正直に話すだろう、隠し事のない本当
の幸せな家庭を私は手に入れたいからだ。