ハワイ常夏の島

AV監督といえば今は甲斐正明監督が有名だが、以前は
村西とおる、だった。現在でも業界でその名を知らない
者はいないほど名前だけは健在である。
氏は何年か前ハワイの刑務所に入っていたそうである、
その頃の話を、しみじみと語ってくれた事があった。
「もう無茶苦茶なんだから、外国の刑務所はねぇ〜
 シャワーに入ろうとすると、私の後から5人ぐらい
 マイクタイソンみたいな奴らが付いて来るんですよ
 私の体を求めてね・・・地獄でしたよあの頃は・・・」
どうやら氏は例外に漏れず刑務所内で黒人に弄ばれてい
たらしい。(体の小さな東洋人はよくオモチャにされる)
私は氏を哀れに思い仕事面でかなり協力もしたし、氏の
制作で裏ビデオに出された女からのクレーム処理もして
やったり、私はお互い誠意で付き合っていけると思って
いた、ところが氏が妙なことを言っていると私に教えて
くれた人がいた。
その人が言うには、
「沖本君は気が狂ったのか?あんな作品作ったりして
 君たちも沖本君と付き合っていると逮捕されるよ」
氏はこのように私を批判していたらしい、氏にはハワイ
でのトラウマがあったからだろうが、私にしてみれば
私に直接文句を言わず、他人に悪評を言いふらした事が
私には許せなかった、だから私は抗議に行った。
開口一番、「監督、あなたはモノの本質を見る目まで
      失ってしまったんですか?」
監督   「なんだと!私に意見するとは100年早い」
私    「借金も100年分多いですよね」
監督   「君は狂っている自分に気付いてないんだな」
私    「狂人に狂人と言われても説得力ないですね」

こんなやりとりが5分ほど続いただろうか、私はラチが
あかないと思い、持参した親書を読んでもらうことにした
その手紙を一読した監督の表情がすぐに変わったのが判っ
た。それは私の遺書だった。
監督はもう一度読み直すと私に言った