老練の言葉

去年の今頃は、何もしないで毎日遊んでいた
カラオケ行ったり、女の子を誘って遊園地へいったり。
それはある番組の影響であった 題名は忘れたがNHKが放送し
た老僧を取り上げた話をみてからである。
その老僧の名は(宮崎エキホ)だったと記憶してるが定かではな
い、104歳で現役の人間国宝みたいな人が語っているのだが、
さすが老練と思わされた。
その老僧の話を要約すると、「平気で生きろ」という事だったの
で私も調子にのってさっそく実践してみた、仕事も全て捨ててそ
の日をただひたすら平気で生きてみよう、自分をリセットするに
はいい機会だし、どのくらい平気で生きていけるか試してみたか
ったのもある
ところが、まあ見事に失敗だった 三ヶ月もしないうちに遊びに
疲れて そのうち今度は明日は何をしようかなどと考えるように
なり平気どころか焦りで窮地を招きつつあった。
そんな頃だった、気晴らしに釣りでもしようと真鶴へ行ったとき
だった、いつもは行かない岬の先まで車で行き腹が減ったのでメ
シでも食べようと立ち寄ったレストランがとても混んでいたので
待っている間に一服しようと思い、ついでに人気のない場所で立
ションでもしようと海の方へ歩いていたら 突然目の前に素晴ら
しい景色が飛び込んできた 「三石」という場所で、この辺りで
は有名な観光名所だった、そこは青い海と白波を遥か眼下に望み
眩しすぎる太陽 私は偶然にも三石へ来たがあまりの美しさに腹
が減ってるのも忘れ景色に見蕩れていた、そしてこれまた偶然な
のだが、海岸まで歩いて下りてみようと石段を下っていくと白い
茶店のような店があり 冷たいものでも飲もうと入ってみると
そこは喫茶店ではなく書家のギャラリーだった、そこで出会った
年配の書家が、宮崎エキホに劣らぬ人生の達人だったのだ。
私はその書家に会った瞬間ピーンとくるものがあった、そこで私
はその頃の私の悩みを相談してみた、人生とは如何に生きるか。
書家は「お前にぴったりの言葉がある」と言い、その言葉を色紙
に書いてくれた。
  < 人生亀の如し > たった6文字の短い言葉であるが私を
見抜き、私にとって一番相応しい言葉であった「 長い人生ゆっ
くりする時もあっていいじゃないか」年配の書家はそういって私
を優しく励ましてくれた
今、私は忙しい毎日を送っている だがけして焦ったりはしない
やる事のない毎日より忙しい毎日の有難さを理解しているからだ
そして時にはゆっくりしても良いという安心感もある、毎日コツ
コツと亀のようにやればいい これこそが平気で生きるって事で
はないかと最近になり気付き始めている。