事実

私はプロダクションに依頼して三人のモデルを派遣してもらった
そして、その中に一人でもいいからAV出演暦のないほんとうの素人
を私には分からぬよう入れてほしいと条件をつけ撮影をした。

撮影が終了しモデルプロダクションの担当者から聞いた事実。
それは以外にも三人ともAV初出演だったということだった、一人は
まったくの素人、一人は水商売の経験が少々、一人はプライベート
で彼氏に裸を撮られたぐらいのもので、とてもAV嬢とは言い難い。

期せずして起こった結果と原因は?
あんな撮影がAVだと思われると今後彼女たちがAV業界に残る可能性
は低い、大志を抱いて しかも恐々AV世界の扉を叩いた彼女たちの
気持ちを私は無神経に踏みにじったという事になるからだ。
仮にもモデルを潰すというテーマでの企画なら、それは成立するだ
ろうが今回は違うからだ。
私は弱い立場のモデルを虐めて、満足感を感じていた最低の人間に
なっていたのだ。
 
自然界で肉食獣に襲われ喰われようとしている草食獣を見たことあ
るだろうか? その草食獣の目は、とても穏やかだという運命を悟
り、受け入れるとそうなれるのだろうか・・。

撮影後彼女たちにAVに対する感想を聞いてみた。
「本当はAVなんてやりたくないんです、でも生活に困っているから」
その言葉は本音だろう、現場では聞き流していた私だが今ではその
言葉が心に深く突き刺さる。
我々は必要悪の世界に生きている、人間に性欲がある限り彼女たち
のような、望まれぬ草食獣は餌食となっていくだろう