花水木

「ときは今 雨のしたしる 花水木」

ヘルパースクールの終業式が明日である。
終業日に一枚のレポートを提出することになっている。
実習報告をまとめて提出するのだが、(5分)となっている。
要するに5分間以内のスピーチをしろと言う事だ。

5分間と一口に言っても、一枚の紙に書ききれるものではない。
簡素化すれば「勉強になりました、有難うございました。」の一行だ。
最後のレポートなので、あまりいい加減な中途半端なものにしたくない。

私のそれはまだ白紙である。
白紙のまま提出しようと思っている。
介護業界へ、ひいてはシルバービジネス業界へ、白紙の様な真っ白
な素直な気持ちで挑戦しますという意思表示である。

あなた方が3ヶ月もの長い間、心血注いで育んでくれた一生徒の私が、
今後どのような行動をするかによってその真価が問われるのだ。
まだ何も貢献してない、
まだ迷っている、
まだ選ぼうと、
まだ学びたく、
自分の可能性にあがこうとしてる私である。
さてこの先どうなるのか?自分でもハッキリとは分かってない。

分かっている事と言えば、この業界で食って行こうと思っている事だ。
それが介護職であるのかそうでないかは分からないが、シルバービジネス
への取っ掛かりを得たわけだから、その恩に報いるような仕事をしようと
思っている。
また、そういう人間に生まれ変わるチャンスなど、そうそうない筈だ。

「介護業界はまだまだ開拓の余地のある業界であると思う」
という施設長の言葉や、優しい人柄に勇気付けられ、
「人生はいつでもやり直せる」という担任の言葉にどんなにか励まされた。
この3ヶ月間の恩はけして忘れないし無駄にしないつもりだ。

冒頭の句は、「ときは今 雨のしたしる 皐月かな」のパクリ。
かの明智光秀が本能寺討ち入りを前に詠んだものだ。
戦国乱世下克上の世とはいえ、人(信長)を殺めるなど良くない事だ。
それでもしなくてはならない時はある。
この介護の業界でも同じだ、してはならない事、あってはならない事。
でも誰かがやらなくてはならない事があったとすれば、私はやる。
ただし次回よりは大人の顔でやる、もう実習生でもなんでもないのだから、
甘ったれた事はできないし、しないつもりだ。

貴殿が事務所前の便所の水周りを自ら清掃しているように、
私も自分の心を磨き、常に刃を研ぎ澄まし、静かに戦おうと思っている。
「ときは今」ではなく、その「時」をとりに行こうと思っている。

173829 H22 9月30日  PM3時50分