明けて今日

天気の良い海釣りだったので、季節はずれの日焼けなどしてしまった。
仕事を忘れ発散したいが、スカウトマンからの連絡は船上にいる私にまで
追いかけてくる。
「ABCで言えばBの上ですよ、胸もあるしいい子ですよ」そんな決まり
きった売り文句が留守番電話に残されているのだ。
私はいわゆる普通のSEXのハメ撮りというものをあまりした事がない。
先日あるメーカーの人にDVDを参考資料として貰い、初めて人のハメ撮
りというものを観たばかりだ。そこで私もハメ撮りも撮れるようになろう
と思い、「モノになりそうな子がいれば、簡単な仕事だから」とスカウト
マンに声をかけていたのだ。スカウトマンが私の要望にすぐに応えてくれ
るのはいいが、気持ちが仕事から離れている時に電話されてもうっとうし
いだけ。どうせハメ撮りの練習だし商品にする気もないから「明日の気分
次第でどうでしょう?今日は疲れてるんで」などとスカウトマンを軽くか
わしてその日は寝た。
明けて今日。私はその「Bの上」の女といた。こちらの撮影は終わったの
で、その女を別の人間に転売(紹介)しようとしていたのだ。紹介先は
SMで有名な志摩紫光、私が業界で「先生」と呼ぶ数少ない人の一人だ。
先生は紹介したBの上を全裸にすると、買い物用のカートの上にM字開脚
に縛り上げ外出していった。ちょっとやばいんじゃないの?と思ったが私
も後に付いていった。先生はまるで普通に買い物をするような感じで、そ
のまま近所のスーパーにカートを押しながら入って行った。スーパーの客
はカートの上に縛り上げられたBの上を見て唖然としている。Bの上はと
いえば「もうお金なんていりません!こんな仕事なんてイヤ〜!」などと
泣き叫んでいる。私も、これはかなりやばいんじゃないの?と思いながら
も、先生はSMだけじゃないんだ、露出というパフォーマンスもするんだ、
などと感心しながらカメラをまわしていた。
そこでやっと眼が覚めた、なかなか強烈な夢だった。

AVを撮り始める最初は、たいがい自分の彼女とのハメ撮りが多いと聞く。
私は商売の延長で面接モノを多く撮っていたので、普通のハメ撮りには縁
がなかった。そのハメ撮りに挑戦しようと思っていたから、あんな夢など
見たのだろうか?やはり私は気の小さな人間なんだろう。
夕刻スカウトマンと落ち合い、電話で言っていたBの上とも会った。
優しそうな子だったが、時間の折り合いが付かなかったので今日の撮影は
中止にし、次回ということにした。夢の中ではとんでもない事になってい
たが彼女はそれを知らない、私もそんな事を喋るつもりもない。彼女は昼
間は看護婦をやっていて、夜のバイトで風俗やAVのような仕事も時々す
るらしい。「普通のことしか出来ません、宜しくお願いします」と、礼儀
正しい子だ。俺の普通でいいのかな?などと意地悪な考えもよぎったが、
あくまで普通のハメ撮りを練習?いや研究だな、練習なんて彼女に失礼だ。
そう、そのために呼んだ子だったなと思い直すと、肩の力も抜け何故か私
自身も安心した。

73742      10月20日  AM0時30分