蟻地獄

有意義な休日だった。
父母と妹と私の4人で、神代植物公園へ皐月を見てきた。この公園は
名前がちょっとややこしい。近くに蕎麦で有名な深大寺があり周辺の
地名も深大(じんだい)だが、植物園だけは神代(じんだい)と書く。
植物園の創始者がへそ曲がりだったのだろうか?名前の由来は知らな
いが、初めての人が混乱するような名前だ。
植物園の正門で入場料を払い右手の方へ歩いてゆくとバラ園がある。
このバラ園はけっこう有名だそうだが、今日は目的が違うのでパス。
10分ほどゆっくり歩いて、深大寺口より一度園外へ出て蕎麦を食べ
た。ここの蕎麦はコシが強くて旨い。
先に食べ終わった私は、近くのベンチに座り一服していた。ふと足元
を見ると蟻地獄の巣があるのを見つけた。蟻地獄とはカゲロウの幼虫
の事で円すい状の穴をつくり、落ちてくる蟻などの小動物を補食する
が、成虫のカゲロウは寿命が短いため生まれつき口がない。成虫は寿
命が短いから食う必要がないのだ。食事を済ませたばかりの私は、こ
の虫が妙に哀れになり蟻を何匹か巣の中へ落としてやった「せめて食
える時ぐらい腹一杯食え」という気持ちで。それを見ていた母親が私
に「何してるの?」と聞くので「蟻地獄にメシ食わせてんだよ」と言
う私に「蟻を落としてるの?地獄に」と、ぽつり。
以前私は現在の仕事に行き詰ったとき、両親に相談した事がある。
その時母は「あんたが地獄に落ちても私が蜘蛛の糸で引き上げてあげ
るからね」と、言ってくれたのを思い出した。親の言葉は重い。
食事を済ませ母と妹はバラ園へ父と私は皐月園へと向う。
前日に用意した盗品リストを片手に。盗品といっても花が咲いてる枝
を無造作に折り取るのではない、「忌み枝」という剪定時には切り取
られる不要な枝先を失敬するだけだ。父もこの行為には賛成してない
から実行犯は私、厳密には園内の植物を許可なく傷つけるわけだが、
どうせ捨てられる忌み枝しかも入手困難な品種となれば、少しのスリ
ルも趣味の醍醐味。それに私はそこまで公明正大なガチガチ頭じゃな
い、剪定され捨てられる筈の小枝を差し木し、培養し将来花を咲かせ
る可能性の方を、私は選ぶ。
※ 良い子の皆さんは真似しないでね。

PS 今日のヒット数は多いな このブログを最初から読んでくれた
   人がいるんだな。「ありがとう、これからも宜しく」
1619(414)           5日AM1時55分