一年ぶりの再会

今日はいい天気だった。
この季節は道端の雑草でさえ、その青さが美しく見える いい季節だ。
萌えの季節、この新緑この風の匂い
私が五体満足で生きている事を、感謝できるのはこの季節だけだ。
眩しい日の光に目眩がしてベンチに腰を下ろすと優しい風がそよぐ、
「詩」の一つも書きたくなる心地よさだ。
スズラン、鹿の子ユリ、ナルコユリが開花間近
オダマキムスカリ、花ニラ、日本桜草、ウラシマソウ、そしてタイ
ツリソウの鮮やかなピンク色が一段と目を惹く。
タツナミソウの紫もいい、北斎富嶽に描かれている波の形から命名
された由来を思い出させる。
去年絶滅しかけたヒゴスミレも、赤い茎の先に独特のモミジのような
若芽を展開させている。
10坪ほどの狭い実家の庭だが、そこにはドラマがあり人生の縮図が
存在する。
花を愛でて何と思うか そこには何もない、ただ花があるだけだ。
しかし、そこには全てが在る。 外見の美しさだけに見惚れていては
何も見えてこない。花を咲かせるために植物たちは、何をしてきたか
を思い出してやらねばならない。夏の日照りや風雪に耐え、数万分の
一の可能性の中で種子を残し、土中にあっては互いに凌ぎを削りやっ
と根を張れた個体だけが勝者の象徴として花を咲かせているのだ。
一年という短いサイクルではあるが、開花とは子孫を次世へ残さんと
する一手段に過ぎない。その強かな逞しさに感動があり、共感させら
れる何かを感じるのである。
私は今を生きる者として、共感できる感覚を持ち続けていきたい。

48490(223) 15〜17日    PM11時25分