倒錯

西伊豆堂ヶ島に連れて行ってもらった。
宿をとった仁科から海岸沿いに歩いてゆくと堂ヶ島までは
15分程である、海岸線が入り組んでおり方向を間違えそ
うになる 岬に沿ったカーブをぬけると目の前に堂ヶ島
風景が唐突に出現する。
絵はがきにある様な素晴らしい景色は印象的だった、不思議な
ものでこういった瞬間、一時的に倒錯されるものである、初めて
見る筈の景色なのに何故か懐かしい 悠久の昔から変わっていな
いであろうその景色は21世紀の現在からタイムスリップさせて
くれたような新鮮な衝撃を与えてくれた。
海や山といった大自然は都会の雑踏に生きる者にとっては心の
オアシスであり、究極の生活願望であろう 私の知っているだけ
でも将来は大自然のなかで自給自足的な生活をしたいと思ってい
る人は多い、おそらく帰巣本能がそうさせるのだろう遠い遠い昔
の記憶が刺激するのかもしれない。
日本人は雑種民族である、熊襲アイヌもその昔は大陸から渡っ
てきた筈であり、それがどのような理由であるかは判らないが
新天地を求めて辿り着いたのが、この国だったのだろう極東に位
置するこの国の民族は開拓心が旺盛で大陸での生活に満足できず
新しい土地を求めたパイオニアの末裔である その遺伝子を我々
は受け継いでいる それは優秀な遺伝子だ・・・などと日本人の
ルーツを考えさせられる程、堂ヶ島の景色は美しかった。