実生
三寒四温の時期も終わり、一雨ごとに春の陽気を感じる季節になった。
こんな季節は桜もいいが、もっと可愛いモノもある、寒い冬が終わりやっ
と発芽した草木の芽。春の雑草に混じってひっそりと土中から生命の最初
の一歩を踏み出した小さな小さな木の双葉、これを総称して「実生」と呼
ぶ。どんな大きな木も実生はあるが、この時期はモミジの実生が特に可愛
いものだ。モミジも花が咲き種ができる、双葉の間からほんの一枚だけあ
のモミジの本葉をのぞかせている様はまるで赤ちゃんが、まばたきをして
いるよう。そんな可愛いモミちゃんを、そっと取ってきて小さな鉢に移植
する。直径3センチくらいの小さな鉢にミニ盆栽として育てるんだ。
名前も付ける、もちろん「モミちゃん」。
誰にでもできるからやってみるといい、大きめの公園、東京だと井の頭公
園、小金井公園、深大寺植物公園、新宿御苑、小石川植物園、そのくらい
の規模の公園なら必ずこの時期に生えている。
注意しなくちゃいけないのは夏場の管理かな、小さな鉢は保水力がないか
ら、うっかりしていて気付いたときにはモミちゃんがミイラになってたり
する。私も今まで何回モミちゃんの葬式をしたことか・・・。
そんな姿にしてしまったときは、心にズキンと鈍痛がはしるよね。物言わ
ぬ小さな小さな木の芽だけど、それでも生命だってことを教えられる。
この感覚を感じるチャンスを、現代社会の多忙な中では希薄になりつつあ
るってのも悲しい現実だな。
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今日は生命の大事ってことを書いてみたかった。
一昨日、前妻と喫茶店で会ったと書いたが、その話の一部にこんなのがあ
ったんだ。大きくなった子供ヒロ君を前にしてだぜ。
「アンタ、ヒロ君も大きくなったでしょ、実はねぇ去年もう一人できちゃ
ったのよぉ〜もう手術したけどね、だってアタシの時間がなくなるもん」。
だってよ・・・そんな話を平気で子供の前でする心境も信じられないが、
私との結婚時に私との間にできた子供を深酒と無理な不注意で流産された
ことを思い出してムッとした私だった。本当なら今頃私にも、可愛いさか
りの子供がいる筈だった。だから私は今でも前妻を許せない、一生許せな
いだろう、そして心の奥底で私は女を憎んでいるのかもしれない。
実際、離婚と同時期に今のような内容の撮影を始めている私だ。もう私は
人を心から愛せなくなっているのだろうか?
そんなこともないだろう・・・いずれ私を愛してくれる人と出会い、私と
の間に生命を身ごもってくれれば、きっと元の自分を取り戻せるだろうと
信じている。
現在、それらしき相手はまだいない・・・・・・・・・。
仕方ねぇから、花見がてらモミちゃんでも探しに行っかな!
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38587(107) 28日PM5時25分